【ネタバレあり】『科捜研の女』劇場版のBlu-rayを買ったので、感想を書いたよ。

科捜研の女
科捜研の女
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 『科捜研の女』劇場版、遂に発売。

 皆さん、もう買いましたか?
 Blu-rayの特典、素晴らしいっすよ。
 なので、いつもの形式で感想を書いてみます。見どころたくさんだからちょっと長いよ。
 この記事と合わせて、下記の記事やツイートも読んでくださると嬉しいです!

『科捜研の女』劇場版 感想(または、「私が『科捜研の女』劇場版を推したい理由」)

『科捜研の女』劇場版に関する自分のツイートをまとめただけ

『科捜研の女』ミリしらの友人と劇場版を観たら、こうなった。

 上の記事やツイートと被る部分もありつつ、見どころを書いていきますよ。
 この感想が、映画を見返す際の一助や、Blu-ray購入の背中を押すものになりますように。

※注意
 オーディオコメンタリー、特典映像等のネタバレがあります! というか、全てごちゃまぜで語ります。
 全て見終わるか、ネタバレ上等!の覚悟で読んでね!

全く伝える気がないから公式をちゃんと読んでほしいあらすじ

 『科捜研の女』は最強!!!!!!!!

この映画の見どころ

◆△

 おなじみ東映のマークのところでも遊び心。メインテーマキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!と、劇場でワクワクしなかった人はいるのだろうか。テレビドラマ視聴者はみんなワクワクしたんじゃないでしょうか。私はした。

◆紅葉ひらひら

 このシーンで酔う人もいたとかいないとか。
 マリコさんをナンパする老紳士、しかしマリコさんはいつものマリコさんで、知らず知らずのうちに撃退してしまう。カフェで論文読むのはともかく、知らない人に損傷の激しい内臓の写真を見せるんじゃありません!
 伊東四朗さん演じる老紳士、最初は「若いナンパ男」の設定だったらしい。ここは変えて大正解だったんじゃないかなぁ。マリコさん、というか沢口さんって、伊東四朗ぐらいの年齢の人にはストライクだろうし。伊東四朗さんのおかげで、品とユーモアのあるシーンになったと思う。

◆プライベートの宇佐見さん

 母親に「その人の話をしてる時が一番楽しそう」と言われる、マリコさんについて語る時の宇佐見さんよ。
 やっぱり宇佐見さんって、マリコさん側の人間だよな? 常識人の顔してるけど、マリコさんみたいにぶっ飛んだ人だよな? っていう、個人的な想像を深めるシーンであり、うさマリ派にとっては歓喜のシーンでもあり。

宇佐見 「マリコさんとはそういう関係じゃないよ」

 たぶん、宇佐見さんが好ましく思ってるのは「そういう関係」とは無関係のところで突っ走る今のマリコさんなんだろうなぁ、というのがわかるシーン。それを語るだけなのに、イケメンが語るだけで思わせぶりなシーンになるんだから、ホントにイケメンってのは罪やでぇ。
 宇佐見さんのお母さん、咲枝さんもS21で再登場するんだろうか。どうなんだろ。

◆プライベート?の亜美ちゃん

 職場にいるけど、鑑定中じゃないからプライベートなんだろうか……職場のシステムアップデートしてるけど。
 亜美ちゃんが喜んでいる機械、うん千万するらしいですが「だったら嫌がることさせようかなって」思った監督の案で、亜美ちゃんはその高価な機械を抱えたりする羽目に。本当は落とす案もあったらしいが、さすがにそれは……ってことになったとか。
 木島くんと泰乃ちゃん登場。警務部の木島くんはお初。亜美ちゃんと泰乃ちゃんを飲みに誘うが……というシーン。このふたりは(元)「科捜研の女」なので、そう簡単にはイケメンに靡かない。イケメン<新メカへの興味。
 それはいいんですけど、なんでテントを閉めさせる必要があるんですかねぇ……別に木島っちいてもええじゃろ。なのにわざわざ木島っちを排したということは……
 これは……キマシタワーなの!!!?

◆プライベートの日野所長

 えっちゃんという愛妻を得ている日野所長が一番の勝ち組って、それずっと言われてるやつ。
 というわけで夫妻で登場。200回SPを思い出してしまうのは許してほしいw
 それはともかく、仲良さそうで何より。今もたまに京都来てくださるのね。ラブラブじゃん。えっちゃんに話聞いてほしくて駄々こねる日野所長かわいいかよ。
 「日野さんが夜のモードにお芝居を持っていこうとするんで、ちょっと困りました」(兼崎監督談)
 草。えっちゃん役の宮地雅子さんは、斉藤さんが指名したって話だもんな。そして日野夫妻の話もやりたい!って舞台挨拶で言ってたもんなw
 後の出動要請のシーンのオーディオコメンタリーで語られますが、日野所長が夜のシーンに持っていこうとしたシーン、カットされてるらしい。うわぁ、ディレクターズカット見たかった……!

◆プライベートの呂太くん

 S19-3で仲良くなった後、今もこんな風につながってるのか……! と、シリーズファンからすると胸アツな交流。
 と同時に、呂太くんの住まいの内部と相馬さんの家がわかる仕様。相馬さん、家買っちゃったってすごくね!? カナダの相場がわからんが、煙突付きの一軒家って高そうだけどな……相馬さん自身はしゃいでるし、結構高かったんでは。バイクも買った、ってのは中の人からのエピソードかな。
 呂太くんの家は、やっぱりオシャレ。お菓子なんかも奥に見える。呂太くんの家だけあって、やっぱりセンスある感じになってるのね。

◆プライベート?の風丘先生

 まだ大学にいるけど、まあ解剖中とかではないし……
 論文のために色々バサバサ。整理できてない加減がリアル。
 亜矢ちゃん、声だけの登場(現場にはいた)。S21-11には登場してくれるんだろうか。役者さんのお名前はあったけど……
 登場時は小学生だった亜矢ちゃんも、今や医学部の大学生ですよ。ちゃっかり教授である母親になんか色々聞こうとしてる医学生ですよ。もう、年月の経過怖い……!ってなるわ。
 そんな日常を垣間見せてくれて、ありがとう!な気持ち。ここまでのプライベート面だけでも、劇場版見てよかった!になる私は単純。もちろんここからが本番であり、本番こそが面白いんだけど、ここまでのプライベートパートもかなりいい味出しててホントよかったよなぁ。導入としては最高。

◆銀杏は「注意」の色

 って、舞台挨拶かなんかで誰かが言ってた。誰だったかな。内藤さんだったかな?
 そのとおりのように、銀杏が落ちてくることで平和な日常が終わる。よりによって風丘先生の目の前で落ちなくても……

◆科捜研、出動要請!

 たぶんプライベートパートって、シーンが進むごとに時間も進んでる設定だと思うんだよね。マリコさんのシーンでは日が沈みかけ、日野夫妻のシーンは時計から午後10時過ぎ、風丘先生がご遺体の死亡確認したのが午後11時過ぎなので。
 ってことはマリコさんのシーンの次にあった宇佐見さんのプライベートパートは(晩御飯の片付け中ということも考慮して)そこまで遅い時間ではないっぽいのに、他3人と違ってまだ寝てない、お母さんの車椅子のメンテナンスをしているってのが、普段の宇佐見さんの生活が垣間見えるようで。そして、宇佐見さんもまた寝不足では崩れないマリコさん側の人間……!
 何より、マリコさんは午後11時過ぎまで外をフラフラしていたことになる。この事件ばっかり起きる修羅の都で! 危ないから用事がないなら早くお家に帰ろうよ!

◆第一の現場検証、解剖・鑑定シーン

 映画ということで、捜査員の数も多め(に見せるようにしているところもある)。実際はもっと欲しかったらしい。
 風丘先生が目撃者になったことで、現場検証にも立ち会う。落ちていく石川礼子教授と目があったことで動揺する風丘先生を気遣うみんな。声に出す呂太くん、そっと肩に手を置くマリコさんだけじゃなく、みんな気遣ってると雰囲気でわかる。
 でもきちんとやるべきことはやっていく、そこらへんが皆さんプロ。風丘先生も交え、ご遺体が訴える「声」を拾っていく。
 そこらへんのプロフェッショナル感がカッコいいよねぇ!という気持ちを少しずつ高めていってくれるBGMがサイッキョ。やっぱり川井憲次さんなんだよなぁと。そのまま解剖・鑑定シーンに移っていくわけですが、兼崎監督がオーディオコメンタリーで「ダンスタイム」を認知してて笑った。こ、公式ツイ……(黒歴史)
 あまり奇をてらわず、『科捜研』ファンが素直に楽しめるものをとのことですが、この最初のダンスタイムには皆さんテンションぶち上げだったんじゃないでしょうか。特に劇場で見た時の感動はヤバかったです。音響効果最強。川井憲次サウンドを劇場で聴けるとか豪華。そんな感動で、うっすら涙が滲みました厄介ファンですどうも。

◆科捜研内のクレーン撮影

 映画ということで、アップよりはみんながわちゃわちゃしているところを撮りたい。という監督の演出意図で、科捜研内だけどクレーン撮影しているのだとか。手間がすごい。
 おかげでこのシーン、マリコさんの持つ鑑定書を覗き込む風丘先生とか、歩き回る日野所長に動き回る呂太くんとか、見どころが生まれててすごいなぁと。
 話を聞いてると兼崎監督、だいぶ変わった人で感性の人っぽい(理屈と感性なら後者を取るタイプ)のだが、それでもカチッと理屈っぽい櫻井脚本の『科捜研』に噛み合ってるの、すごいよなぁと。理屈×感性の相乗効果ってヤツなんだろうか。

◆秦さん登場

 劇場版で多くの人が「なんだったんだ……」とミスリードされたという彼女!
 それも兼崎監督の信条、「怪しい人は多いほうがいい、台本より多く」によるものらしい。つまり、引っかかったあなたは演出意図を汲めてる偉いお客さんです。
 フラスコに花を指してるのは、兼崎監督の趣味+『科捜研』台本表紙のオマージュだそうで。わかるかそんなんw

◆死の間際の言葉を聞くということは

 「助けて! 殺される!」を聞いた風丘先生は、やっぱりじっとしてられないよね、のシーン。

風丘 「それで自殺ってことになったら、捜査は終わり、ってこと?」

 死者の最期の声を拾うのが彼女の使命だからこそ、納得がいかない。まさしく「最期の声」を聞いてしまった風丘先生、序盤~中盤はすごくアクティブですよね。マリコさんも風丘先生の意思を汲むようにして動く。風マリ派だけじゃなく、長年マリコさんと風丘先生のコンビを見てきたお客さんにとっては、胸アツな流れだったんじゃないでしょうか。

◆エンテロコッカス・パンデレスオ

 通称『ダイエット菌』。今回のキーアイテム(?)である。
 科学者同士の対決で、専門用語が飛び交ったりと難しくなりがちなので、せめて題材はお客さんが興味を持ってもらいやすいものにしよう……というのが脚本の櫻井さんの意図だそうで。「ダイエット」ってキーワードはウケる、という経験則があるらしい。確かに。
 それはともかく、タブレットで自分が痩せる様子を観察した結果を見せてくる奈々枝さん、自分がモルモットみたいな扱いを受けてるのわかってんのかな……と思うような笑顔で、ちょっと心がきゅっとなるな。加賀野教授を崇拝しているが故なんだろうけど、自分の経過観察を嬉々として見せてくるの、狂気も感じられる。怖い。

◆佐沢さん、再登場!

 S13~14のゲストキャラ、なんだけど、さも「僕もレギュラーでしたよね!」みたいな顔で再登場するの、めちゃくちゃ佐沢先生っぽくて笑う。
 どうやらお見合いパーティー?に出ているらしいが、舞妓さんはなんかゲストみたいな感じなのかな。何にせよ、プロにあそこまで嫌そうな顔させるって、一体何をやらかしたんだ佐沢先生w 「あの人、怖いわ~」って逃げられてるし。まぁ確かに、50超えてるだろう男性が舞妓さんに言い寄るって、なかなかホラーな絵面ではあるけども。
 本人は「いいとこだったのに~」なのが佐沢先生らしい。相変わらず空気読めない。そのままの雰囲気で、大声出したり、土門さんにマリコさんとの関係を聞いたり。
 確かに今となっては佐沢先生ぐらいしかあえてマリコさんと土門さんの関係を突っ込んだりしなさそうだが、佐沢先生だとそりゃマトモに相手にされないよなぁってのが悲しい。事件捜査中なので正しいのは土門さんなのだが、もうちょっと愛想ある対応してあげてもいいんじゃないだろうかw 「愛想なし」って言うなら、マリコさんより土門さんだよね実は。
 実は佐沢出演反対派だった兼崎監督。現場で意見が変わったらしいが、確かに「え!? 佐沢先生も劇場版に出るの!?」って思ったのは私もそうだ。そういう意味では、私も勉強不足ということになるな。10年以上観てるけど、未だ勉強不足の『科捜研』です。まだまだ奥が深いぜ。
 そして佐沢先生が前半のコメディ部分を担い、第2の事件まで引っ張っていく。先斗町の歌舞練場までどれぐらいあるのかわからないけど、そこまで引っ張られて事件と遭遇するはめになった石室さん、割と今作の中でも上位に来る可哀想加減。もちろん、何より被害者たちが可哀想なのはそうなんだけど。

◆第2の事件!

 和傘に落ちてくるシーンは、現場で盛り上がって「傘しかねーよな!」となったらしい。
 その盛り上がりは功を奏してると思う。一緒に観た友達も、和傘のシーンはめちゃくちゃ印象に残ったようでしたし、予告の時点でこのシーンは「お!」って思いましたもんね。目を引く美しさ。兼崎監督が目指したところが、しっかり表現されていると思う。

佐沢 「僕に! 僕に解剖させてください! 斎藤先生は僕に言ったんです。『助けて』って。(中略)でも、助けられなかった。ならせめて彼に何があったのか、解剖で見つけてあげたいです」

 S14最終章を知ってるお客さんは胸熱になる台詞。それを知らなくても、序盤の風丘先生と同じですよね。「死者の最期の声を拾う」のが解剖医の使命。腕は未熟かもしれないけど、佐沢先生もまた、風丘先生と同じく使命を持ったプロなんだよということ。

◆解剖の予算は国民の血税だ

 「事件性のない解剖は許可しない」botこと藤倉刑事部長。いやあの、これ冗談ですからね。
 テレビドラマでもおなじみですが、劇場版でもきちんと関門として立ちはだかってくれるのが素敵。
 「重い問題からは目をそらさないようにしている」と語る櫻井さん。軽いタッチにする時は佐沢先生のようなキャラクターにそこらへんを担ってもらうので、そういう問題から逃げてドラマ性は失いたくないとのことで。
 そういう問題から逃げなかった話が、S13クリスマスSPやS17の200回SPなんだな……と。あそこらへんは何度も見返すのは気力がいるが、だからといって『科捜研』を語る上では避けて通れない作品だよね。
 その重たさや軽妙なキャラクターのやり取りのバランスの取り方も、『科捜研』の魅力のひとつ。もし上記の作品を見たことないよ、って方は、ぜひTELASA加入の上で見てほしい。TELASAなら『科捜研の女』が見放題!(宣伝)

◆共有スペースのホワイトボード

 ここ、ミスがあります。なんだかわかるかな?
 斎藤准教授の写真の近く、「飛ばしの携帯から着信あり」のメモが貼ってありますが、それが明らかになるのは翌日のシーンなので、この段階ではわかってないはずなのです。これは明らかにミス。
 それはともかくこのシーン、兼崎監督も言っている通りリズム・テンポがよくてコメディタッチにも見えるけど、事件の重要な要素が明らかになるシーンでもある。それをこういう風に魅せられるというのはすごいよなぁ、と思うわけです。「同じ場所を同じようには撮りたくない」という兼崎監督のセンスが存分に生かされている。
 佐沢先生が騒がしく登場。「解剖は出来なくても、血液検査なら出来ますよね?」は、S14でも同じことがあったからだね。きちんとそれを踏まえた上での台詞。

◆法医研究室でのわちゃわちゃ

 ここも同じく、兼崎監督のセンスが生かされているシーン。皆がわちゃわちゃしてて、専門用語が飛び交っていても飽きないシーンになってる。
 専門用語の元になってる科学・医学知識は、櫻井さんの場合は科学論文を取り寄せて読んでるらしい。「読んでいて楽しいですよ」だそうです。私は兼崎監督側の人間なので、ただただ「すげぇ」としか言いようがないw
 そこから生まれる台本を、何回も何回も読みこむことで映像化する監督もすごい。
 とにかく、皆さんがすごい!というお話。そういうすごい人たちが、『科捜研の女』という作品を生み出してくださっているのですよねぇ。感謝と尊敬しかない。

◆あのドラマの名台詞!

 「事件性のない解剖は許可しない」bot藤倉刑事部長を乗り越え、斎藤准教授の解剖や捜査本部の設置が叶うことに。そこから鑑定に移っていくわけですが、Swingバージョンのメインテーマもオシャレでいい感じ。これ、現行のS21だとかかってないと思うんだけど、やっぱ使い所が難しいんだろうか。

藤倉 「必ず、ホシを挙げる」

 内藤さんも言ってるけど、この時点ではまだ事件性は確定してないので藤倉刑事部長は本当はこれ言っちゃダメw 現場で監督が「撮影が上手くいきますように」という願掛け込みで付け足したらしい。
 まぁ、櫻井さんの言う通りこの映画はお祭り映画なので、そういうエンタメ性を重視した台詞ということでw

◆マリコ「助けて! 殺される!」

 共有スペースでの催眠術問答のシーン。兼崎監督は切ろうとしていたらしい。なんてことをするんだ!
 プロデューサーの判断、大正解。

◆大阪にあるロンドンとトロント

 兼崎監督は「ロンドンとトロントで撮影しました」と言い張り、そこを櫻井さんがツッコむの面白かった。でも最後はぼそっと「大阪あたりにありますね」と漏らしてたけどw

◆佐々木蔵之介の演技

 加賀野教授は喋るペースが早い、でも台詞が聞き取れるからすごい! が櫻井さん・兼崎さんの共通の感想らしい。わかる。ここらへんは内藤さんも仰ってた気がする。佐々木蔵之介すごい。
 加賀野教授は全身真っ黒だけど、足元のスニーカーだけは真っ白なんだよね。そこらへんが、彼の科学者としての姿勢を表しているようでもあり。根本は真っ白なんだけど、それ以外は他の色を混ぜても変わらないように真っ黒。そこらへんが、マリコさんと好対照であることを表しているのかも。
 舞台のセットのような、悪役の秘密基地のような加賀野教授の研究室。川井憲次サウンドの大仰さも含めてすごいことになってるがw、これはこれでケレン味あって私好きだよ。その舞台のセットのような作りを生かして芝居する佐々木蔵之介も映えるし。

◆カプセルの大きさ

 やっぱり制作側も「デカい!」って思ってたんだなw
 しかしこれらは、溶けない大きさとかを研究した結果らしいので、仕方ないといえば仕方ないw

◆序盤のコメディシーンも伏線

 「伊東四朗、なんだったの?」と、『科捜研』ミリしらの友達には言われましたがこういうことです。伏線だから印象的な人をキャスティングしたんだよ!(たぶん)
 ここから物語は中盤戦へ。加賀野教授に喧嘩を売ったことで、京都府警がピンチになっていく。そこから今までのキャラクターがたくさん出てくる中盤戦以降への話の持って行き方が美しくてねぇ。

◆土門さんの脅し

土門 「そうなると、令状で強制的に提出してもらうことになりますが……大事になってしまいますよ?」
加賀野「それは……脅しですか」
土門 「いいえ。ただ、国から補助金をもらっている身であり、今、特許を出願されている大事な時期だとお聞きしたので」

 ここの土門さん、大好きなんだよなぁ。土門さんらしさ全開。「劇場版なので何割増しかワイルドに」が今回の土門さんらしいが、その「ワイルドさ」を、暴力とかじゃなくこういう形で表現するの、すげぇな! いいな! ってなりました(語彙力)。
 特に「大事になってしまいますよ?」の声の冷たさが好きです、と、ちょっとフェチ的な話もしていいですかね。あの声色で土門さんに責めたてられたい。

◆土門さん×木島っちの再会

土門 「へへっ。気にするな。それが今のお前の仕事だ」

 木島っちへの腹パンは内藤さんからのアイディアだったらしい。そのおかげで、かつての木島っちとのコンビ感を思い出せて、監督の言う通りとても素敵なシーンになってたよねぇ。
 願わくば、木島っちにはもうちょっと出番あってほしかったけど、木島っちの中の人はもう役者さんやってないみたいなので、出てくれただけでも奇跡っぽいんだよな……ありがとうございます。

◆長回しカット

 科学鑑定監察所のみなさんが登場するまでのシーンは長回し。ここを朝イチ9時に「クレーン使って撮りたいんですけど」と言ったら、「なんでもっと早く言わんの」とスタッフさんに叱られる監督w
 朝イチにやりたいこと思いつきがち、なところからしても、やっぱり兼崎監督は感性の人なんだろうな。この後も朝イチのエピソード出てくるし。
 でもここ、長回しにすることでめちゃくちゃ緊迫感とか出ててよかったと思う。私が長回し好きなだけなんだろうけどw

◆マリコ「お父さん!」

 普段、マリコさんは「父さん」と呼ぶのでこれは珍しい。なんだろ、初見の人にもわかりやすくってことなんだろうか。
 ここから監察シーンが始まる。毎回思うが、別に科学鑑定監察所の皆さんは敵ではないと思うんだけど、なんかこう……敵っぽく演出されちゃうよねぇw 仕方ないのかな。
 土門さんも監察を受ける。カメラを横にすることも朝イチに言って怒られる兼崎監督笑うw
 監察の結果、マリコさんは瑕疵なしと判断され、土門さんは本部長注意で済む(でいいのか?)。藤倉刑事部長が科捜研の鑑定結果に多大な信頼を寄せているのは胸熱なんだが、科学鑑定監察所の人たちが来る直前まで鑑定していた鑑定書を、いつ藤倉刑事部長は確認したんだろう……という謎も。いや「全部見た」とは言ってないが、でも全部見ないと「瑕疵はなかった」なんて藤倉刑事部長は言わないだろうしな……とか。

◆佐久間元刑事部長

 京都府警を辞めた後、何してるのか気になってた人、個人的ナンバーワンだったので、出てくださってよかったです。そうか、公益法人に天下りしてたんだな……
 クリスマスSPを経ての結論がここ、というのがとてもしっくり来るし、今も元気そうでよかった。櫻井さんはキャラたちには頭の中で少し動いてもらうだけで自然とそうなる、と仰ってたけど、それは今までの話の積み重ねがあるからこそなんだろうな。『科捜研』という作品が積み重ねてきたものの形のひとつが、佐久間元刑事部長の現在。

◆マリコさんと伊知郎さん

 取調室での監察で向かい合う親子、ではなく科学者同士。
 いずみさんには最初からふたりのことはお見通し、ということで、素敵な助言をくれたなぁと思います。
 今回の事件、マリコパパがいなかったら詰んでた場面は多分たくさんあるけど、そのマリコパパを動かしたのは間違いなくいずみさんの「それなら、せめて科学者同士でいてほしい」の言葉だったと思うので、今回の陰のMVPはマリコママこといずみさん、ということにしたいんですか、いかがでしょうか。

◆土門さんと藤倉刑事部長

 こうやってふたりで推理してるの、S13~14のあたりを知ってると胸アツだな……
 テレビドラマでも感じるけど、劇場版でも感じられるこの2人の関係性の変化。主に藤倉刑事部長側が歩み寄ってるんだけど、土門さん側も変化してるんだよね、ってのも感じられますな。いい。

◆屋上ドローン

 ダイナミックな撮影方法。こんな感じになってるらしい積水化学。一度は屋上、行ってみたいよねぇ(無理です)。
 このシーンで、土門さんこと内藤さんはネクタイを緩めて蒲原さんのセクシーぶりに対抗しようとしてたらしいけど(本人談)、メイキング見るとネクタイはきちんと締まってるので、たぶんあれは冗談だったのでは……ということになってる。私の中では。このシーンはいくら拡大してもネクタイのあたり見えないので、真偽はわからぬままです。

◆マリコ「拓也!」

 かわいい。
 少女のような可愛らしさが溢れ出る沢口さんがすごい。
 名字で呼ばせるかどうか悩んだっぽいけど、結果「拓也!」で正解だったと思う。ブランクを感じさせないマリコさんの距離感の取り方にも合ってる。そこらへんの選択、さすがだよなぁ。
 マリコさんと倉橋さん、その元夫婦としての在り方は独特の距離感かもしれないけど、理想形のひとつかもなぁ、とは思う。お互いの存在を尊重・リスペクトしているように思えるので。
 まぁ、その結果がマリコさん→倉橋さんのこき使いっぷりかよ!と言われたら、ちょっと言葉にならないんですけども……

◆相馬さん、参戦

 カナダからリモートで情報提供。だけにとどまらず、後半戦では鑑定までこなしちゃう。
 今作で無茶振りされた人トップ3だからな……他2人は、倉橋さんと宮前元所長ですw

◆錦市場での再会

 マリコさん、土門さんと佐久間元部長の再会。ここはテレビドラマ視聴者へのサービスシーンなんだそうです。なので、S13クリスマスSPでの最後のシーンが出てくる。マリコさんと土門さんが若い。7年前だもんな。
 バックボーン、それはまさしく『科捜研』が培った財産ですよね。決して消えない、積み重なっていく財産。

◆宮前「やめてよ! 嫌な予感だけがする!」

 ここからの怒涛の無茶振りシーン、劇場で必ず笑いが起きてたシーンです。宮前元所長、お疲れさまです。
 S21-9にも出てきた宮前元所長、の職場、SPring-8のシーン。櫻井さんも素材映像を欲しがる貴重っぷりですが、めちゃくちゃ取材・撮影には好意的にしてくださったんだそう。やはりそれも、今まで『科捜研』が積み重ねてきた信頼と実績があるからなんでしょうね。
 「SPring-8舞台のドラマ、書けるんですけど……毎週協力してもらうのが難しい」(要約)と語る櫻井さんがすごい。書けるんだ!?

◆マリコさんvs加賀野教授

 緊迫感あるやり取り。初戦はマリコさんの敗退。
 マリコさんは「今」を見ている。加賀野教授は「未来」を見ている。その差が身長差でも出ていてよかった。との櫻井さんの談。ふたり並ぶとカッコいいですよね、と兼崎さんの談。
 どっちも「わかるー!」ってなります。なんだろう、マリコさんって華奢なのもあるからか、背の高い人と並ぶとヒヤヒヤしつつもその男性側も引き立てる効果があるよね。でも引き立てるだけに終わらず、沢口さん本人の存在感と相乗効果でとてもカッコよく見栄え良くなる。マリコさんは圧倒的ヒロインであると同時に、圧倒的主人公でもあるんだよなぁ。それがよくわかる今作だと思う。

◆秦さん

 秦さんの存在は、たぶんミスリード目的ともうひとつ、「加賀野さんを信奉する存在がいる」というのを印象づけるためだったのかなと思ってます。犯人の動機を飲み込みやすくするためというか。
 なので決してこのシーンが無駄だとは思わないんだけど、でも「なんだったんだ……」と思った人の気持ちもわかるw 確かに、紛らわしいよねw

◆リモート耳つねり

 これは沢口さんのアドリブなんだそうで。相馬さんの中の人も実際に現場にいて、現場の雰囲気を掴んでから撮影に臨んだそうで、いやその細かい演出がこの雰囲気になるんだな!と、とても嬉しいというかすごいな!という気持ちに。ああダメだ、語彙がない……

蒲原 「ハハ……じゃあね」
相馬 「出会いと別れの挨拶が早いよ!」

 相馬さんと蒲原刑事の掛け合いシーンも、劇場では笑いが起きてたシーン。ふたりは確かに、こういう仲いいんだかどうなんだかって距離感だったよなー、と懐かしくもなり。

◆最終決戦!

 このテーマが流れる中、みんなで一丸となって鑑定をして真実を追い求める。これにテンアゲにならないテレビドラマ視聴者はいるのだろうか。否、いない(反語)。
 劇場で観た時、胸アツのあまり涙が滲んだのはここだけの話です。川井憲次サウンドの良さ爆発。ここは理屈じゃない、とにかく胸アツなんだよ! オールキャストで鑑定、お祭り映画で見たかった画ですよね。めちゃくちゃよかった。だけに、出られなかった人がいるのは仕方ないけど悲しい……乾くんとか……

◆加賀野「あなたがたは京都府警ですよね?」

加賀野「1日に何度東京に来れば気が済むんだ」

 マリコさんと土門さんがどうやって行き来してるのか、そこは永遠の謎である。京都から東京駅だけで、新幹線で片道3時間かかるのに……帝政大学、八王子なのに……東京駅から1時間はかかるだろうに……

◆マリコさんvs加賀野教授 第2ラウンド

 2人で向かい合うバチバチのやり取り。沢口さんはこのシーンの後、「加賀野さんに飲み込まれそうで怖かった」と仰ってたそうですが、そう思ってたとは思えない程に、マリコさんも強い。劇中でもお芝居のつもりでこれやってるんだから、マリコさんの強さなしでは成り立たないシーンだったと思う。
 んだけど、それに対抗している加賀野教授の強敵感もわかる。このやり取りが見たかった、と言う兼崎監督の気持ち、わかるわぁw マリコさんの存在感に負けない役者さんってなかなか難しいと思うけど、佐々木蔵之介はホントピッタリだったよなぁ。

◆赤い風船

 櫻井さんは「すれ違いざまにコップなどで(ダイエット菌を)かけるつもりで書いた」らしいが、兼崎監督のケレン味で赤い風船のトリックに変更に。ちゃんと顔にかかるのかな!? 現場に風船のカケラが残っちゃうよね!?と気になっちゃうのは脚本家の性w
 ここのシーン、鉄腕アトムの着信音すらも怖くなるんだから、やっぱり夜の京都は恐怖スポット。
 私は結果的に赤い風船で良かったと思うw 赤は紅葉の色、そして警告色、命の色だからね。ケレン味は大事。

◆日野所長と藤倉刑事部長

 ここで日野所長は嘘をついているので目が泳いでいる。初見で気づけた人はいるのだろうか。
 日野所長まで巻き込んでの大芝居。オールキャスト感。そこに混じれなかった藤倉刑事部長。残念だけど当然なんだよなぁ。藤倉刑事部長は絶対こんなの許可しないしw おとり捜査は違法です、やめましょう。

◆清水の舞台から飛び降りる

 という諺はありますが、今回の舞台は清水寺ではなく東福寺ですw 誤解している人が結構いた。
 撮影用のスポットライトが綺麗、という話。実際はこんなライトアップはないらしいw それは残念。
 マリコさん、もとい沢口さんの飛び降りシーンの裏側は、ぜひメイキングで! ワイヤーで吊られてめちゃ大変そうだった。吹き替えにはしない、という監督のこだわりのおかげで、迫力ありつつ美しいシーンになってると思う。CG処理班のおかげでもある。
 しかし、僅か1日前後の準備期間で京都の撮影所を動かせるって公的権力すげぇな。これもマリコさんの人脈説があって笑った。兼崎監督が舞台挨拶で言ってました。
 「無茶な女」呼ばわりにガチで申し訳無さそうな顔してるマリコパパに草。確かに、クッションがあるとはいえ目の前で娘が飛び降りるようなことするんだもんなぁ。こんな感じになるよなぁw って。
 対照的に、宇佐見さんはマリコさんを誇るかのように笑顔。こういう、無茶するけど最終的には真実を掴むマリコさんが好ましいんだろうな、宇佐見さんは。
 たぶん、周りにはたくさん反対されたんだろうけど、それでもやり遂げるのがマリコさん。できれば反対された様子とかも見たかったけど、そこらへんは各々が想像・妄想してくださいねってことなのかもしれません。レッツ二次創作。

◆掴みかかる藤倉刑事部長

 けじめを付ける人なので、怒ったフリをしなければならない。なのであの胸ぐらつかみ。所謂プロレス。藤倉刑事部長、結構力強そうだからなぁ。日野所長、苦しそうだw

佐伯 「終わりよければエブリシング・オッケーですよ!」

 佐伯さんだけはガチ。うーん、本部長w
 藤倉刑事部長のツンデレ笑顔に撃ち抜かれたお客さんも多いって噂ですよ。やはり藤倉刑事部長は陰のモテ男。後方彼女面ファンを作りまくる男!

◆事件解決後の現場検証

 このシーン、マリコさんのアウターは白なんですけど、言うまでもなくそれはあの場では白衣のメタファー。とかいうのを抜きにしても、あそこのマリコさんは科学者として加賀野教授の姿勢を否定しているわけですよね。
 加賀野教授の周りには、信者しかいない。少なくとも、映画ではそう描写されている。
 殺人を犯してでも研究を守りたかった人、警察の追及に嘘をついてでもデータに疑いを持たれぬよう守ろうとした人、加賀野さんを追求する警察に詰め寄ってでも守りたかった人……それらはおおよそ、「対等」な関係ではない。周りにいる信奉者たちは、果たしてどれだけ加賀野さんの熱意を理解し、尊重しようと行動できていたのか。
 ノベライズ版ではダイエット菌の実験シーンのことを「儀式めいた実験」っつーてたけど、それはセットの異様さだけではなく、人間関係の歪さの話でもありますよね。
 というのが、ここの「頭ぽん」シーンに凝縮されているようでぞわーっとしたんですよね。おそらく加賀野教授本人は意図してないだろうとはいえ、知らぬ前に崇められてしまっていた教祖。教祖から信託を得て喜ぶ信者、に見えるんですよねあのシーン。めっちゃ怖い。
 そんな「対等」ではない不健全な関係からでは、歪な結果が生まれてしまう。そんな人間関係のお話でもあったんじゃないかなぁ、と思っています。
 加賀野教授の方を見て「その未来のために、人を殺したんですか?」と問いかけるマリコさん。そのまま、彼女は真っ直ぐ加賀野教授を見つめながら話をする。舞台の上ではるか遠くを見つめる加賀野教授には、今の目線がなかった。未来を見ることは決して間違いではないのに、今をおろそかにしては未来も何もない。
 そのツケを払う形で、奈々枝さんが倒れてしまう。因果応報、なのだろうか……

◆いずみさん登場

 ここが一番のサプライズシーンなんじゃないでしょうか。
 脚本では「京都の街の大スクリーンでニュースを見ている」みたいな形だったらしいが、京都には大スクリーンが無いと。
 ならば代わりに、「お父さんが出てくるし、お母さんにも見守ってほしかった。事件とは全然関係ないところで、マリコさんのことを見守ってくれている人を出そう」ということで、S14の年末SPから星由里子さんのシーンを持ってきたのだとか。今作と同じく櫻井さん脚本の兼崎監督回です。
 

◆蒲原「からーい!」

 激辛が苦手な蒲原刑事。S20-3から。

◆土門さんに抱きかかえられるマリコさん

 狙いすぎててこのシーン自体は個人的にピンと来なかったんだけど、メイキングでやり取りしながらこのシーンを作り上げてくお2人にはキュンとしました。沢口さんと内藤さんのコンビはサイッキョ!

◆大覚寺の紅葉道

 めちゃくちゃ綺麗。実はここ、撮り直してるんだとか。そのおかげで、紅葉が非常に鮮やかで美しいですよねぇ。
 そして脚本上は病室の窓からの紅葉を眺めているシーンだったらしいけど、「最後は本物の紅葉だろ!」っていう兼崎監督のアイディアでデートシーンになったそうですよ。どもマリ派は兼崎監督に感謝しなければならない。ありがとうございます!

マリコ「土門さんとお揃いになっちゃったわね」

 かわいい。
 笑顔で終わってくれてよかった。これが『科捜研』のいいところですよね。基本的には、きちんと締めて終わってくれる。

簡単雑感

 兼崎監督も、櫻井さんも気に入る出来になっててよかった。
 ファンへの感謝と制作陣のプライドが溢れる、テレビドラマの劇場版としては極上の仕上がりになってるんじゃないでしょうか。
 それもこれも、普段のテレビドラマシリーズで様々な実績・信頼・エピソードを積み重ねてきたから。
 まさに「20周年の集大成」にふさわしい、名作だと私は思います。
 こんなに素晴らしい作品を見せてくださって、本当に嬉しい。
 出演者・スタッフの皆様、本当にありがとうございました!

 メイキングはボリュームたっぷり、約1時間!
 その他、各舞台挨拶や公式ツイッターで行ったカウントダウンリレー、TVスポットCMなんかも収録してます!
 皆さん、Blu-ray買ってね! そして見てね!

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沢口靖子(出演), 佐々木蔵之介(出演), 若村麻由美(出演), 風間トオル(出演), 金田明夫(出演), 渡辺いっけい(出演), 小野武彦(出演), 戸田菜穂(出演), 斉藤暁(出演), 西田健(出演), 兼﨑涼介(監督)
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