【特捜9 season7】第1話 感想

特捜9
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第1話 バベルの塔

ゲスト:平岡祐太、徳井優、木村了、三倉佳奈、夙川アトム、森田甘路、村雨辰剛、中村シユン

脚本:徳永富彦
監督:豊島圭介

 あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
 寝ぼけたことを言っているようですが、実はこの更新が2024年最初の更新だから仕方ない。新年っていうか新年度です。今年度もよろしく。
 しかも、それすら1週遅れという……仕方ないんだ。忙しいんだ色々。老いはつらいよ。

 今回!

あらすじ

初回拡大スペシャルで挑む事件は、“多様性”を絵に描いたようなマンションでの殺人事件!
とあるマンションの管理人が殺害される事件が発生。容疑者は、仕事も暮らしぶりも年齢も収入もバラバラな住人たち。壁一枚隔てた全住人が容疑者となる事件を捜査するも、バラバラなのは特捜班も同じで、6人の刑事はそれぞれ異なる住人に疑いの目を向けて…!?それがやがて特捜班解散の危機にまで発展し…!?

見どころ

◆のっけからラブラブコールしてる浅輪夫妻

 浅輪、爆ぜろ。
 そんな私の嫉妬はともかく、いやもうこういう何気ない描写が嬉しかったりする境地。
 そりゃ、キャラ本人が出てくればそれに越したことないんだけど(そして倫子ちゃんは最後に出る)、もう18年もやってるとそれが望めなくなるお方もいる。誰とは言わんけど。
 そういう方たちのことを、セリフとかだけでも少しでも描写してくれたりすることが、長年シリーズ見続けてきた醍醐味を感じられて良いの境地。もはや悟りの境地かもしれんな……
 いやもちろん、「妙子さんや早苗ちゃん出ろ!」と思うし、何より「村瀬さん!!!!!!!」とか思ってますけどね。現実は世知辛い。

◆それぞれイメージカラー

 キャラクター名テロップに出るオシャレローマ字表記、よく見えないのが逆にオシャレ……なんか? 色が各キャラのイメージカラーってことでいいのかな。
 浅輪さん緑、志保さんオレンジ、由真ちゃん黄色、青柳さんが紫がかった青、矢沢さんはより赤みがかったピンク、新藤くん水色、国木田班長はより濃い水色。正確な色の名前とかでツッコむのはやめてくださいw 無知がバレる。
 全部公式サイトのイメージビジュアル準拠のカラーってことですかね。例年のも好きなんだけど、今年のは似たような色でも被らせない、ホントに『十人十色』をビジュアルで表してるのが「お、オシャレ~~~~!!!!!」ってなります。
 なんだろ、普通の若者にウケそうなオシャレさではないんだけど、テレ朝刑事ドラマ好きには刺さるオシャレさだと思う。それが作品のリーチ的に正しいのかどうかは知らん。

◆模様替え特捜班

 コピー機を盛大に引きずってる由真ちゃんが模様替えの発端説と、その由真ちゃんがなんか志保さんのせいみたいなこと言ってる説あるんだけど、これはどっちが正しいんだ……どっちも正しいのだろうか……
 ボルダリングの壁作りたいとか「お前が金出せよ」的なことを言い出すおかえり新藤くん(マトモに出るの、数シーズンぶりでは?)、新藤くんにツッコミ入れてんのかなと思いきや、「ステージ作ろうぜ!」とかワケわかんないこと言い出す国木田班長。どうしたんだ急に。
 あおやざペアは雑談に興じてるだけだし(「バーン」「バキューン」好き)、まさしくカオス。こんだけ好き勝手やれる職場、憧れない人いないだろ……いや逆か。自分のキャラが濃くないと生き残れないから、大半の人は嫌がるかもなのか。そうかも。そう考えたら、私も嫌ですw

浅輪 「特捜班は、相変わらず無茶苦茶ですねぇ~」
青柳 「最近流行りの『多様性』ってヤツなんじゃねぇの?」
浅輪 「いや、『多様性』にも程があるでしょ、これ!」
青柳 「だよな~!」

 浅輪さんが「無茶苦茶」とか言い出すの笑うし、青ちゃんが「多様性」とかいうチクチク言葉で表向き丸く表現しようとしてるのも笑う。最後、2人して笑ってるのにもっと笑う。
 浅輪さんと青柳さんは不思議な距離感というか、「やっぱり青ちゃんって、浅輪さんのこと好きだよなぁ……」みたいに思う。ある意味、浅輪さんの人たらしぶりに一番たらしこまれてるというか。浅輪さんに一番期待してるの、たぶん青ちゃんだと思うんだよね。

◆OP

 よし、OPに新藤くんがいるから、今期はちゃんと出るな! 来期以降は知らん!(今回作中で、なんか言ってたし……)
 OP、横一列で並んでカッコいいんだけど、期待してたよりはオシャレポイントなかったな……後ろが満開の桜とかだったらオシャレだったんだろうか(時期的に無理)。ちょっと背景がさみしい感じするよねぇ。もっとオシャレポイント高そうなところで撮ってたら、また違ったんだろうか。
 皆が揃って前だけを見る中、矢沢さんだけが皆の方を見るの好き。さすがチームのバランサー。特捜班の中で一番のイケメンは矢沢さんって、相場は決まってるんです。唯一の妻子持ちだからな。

◆サブタイ

 コミュニケーション不全を「バベルの塔」と表現するのは別に新しくないんだろうけど、それを事件面(被害者と被疑者)と捜査面(特捜班の皆さん)、両方に絡めて描くのはさすがにオシャレ度高すぎる。しかも今回、オチの描き方までオシャレだったし。
 今まで水9枠で『バベルの塔』と言えば『相棒』だったわけだが、今後は『特捜9』も胸張って訴えていってください。誰ですか、『9』シリーズのサブタイはダサい」なんて言ってたのは!(ごめん)(でも過去のものにはダサいのあるよ……好きなのもあるけど)

◆BABEL

 とか打ち込んでたら、今回の事件の舞台になったアパートの名前が「BABEL」。すごい、シンプルに住みたくねぇ!!!!! 他の住人とちゃんとコミュニケーション取れる自信がない!
 構造も「はぁ~、東京にはこんなオシャレなアパートがあるですか~」って感じだし(実際にあるらしいお庭とか外見の造りは素敵だと思う)、そもそも「間取りも家賃もまるで違う」部屋の集合体ってすごいな……よく今まで(部屋の格差とかで)揉め事起きなかったな……って感じもする。現実にあったら、絶対揉め事ホイホイアパートでしょここ。事故物件が泣きそうレベルで。

◆新藤「随分とまあ……多様性のあるマンションですね」

志保 「まあ、こっちも、人のこと言えないけどね」

 自分たちがキャラ濃ゆい(オブラートに包んだ発言)のを自覚してるだけ、特捜班は常識人かもしれない。いや絶対にそれは違うんだけど。
 もはや作中では「多様性」がチクチク言葉と化してて、たぶん笑いどころではないが笑っちゃう。皮肉にしても切れ味鋭いのよw

◆新藤くんの(謎の)やる気

新藤 「自分の道は自分で切り開かないとな……って」
浅輪 「えっ?」
新藤 「いや……こっちの話です」

 これは今まで通りの「浅輪先輩が頼りないから、俺が頑張らなきゃな」なのか、テレ朝刑事ドラマでありがちな卒業フラグなのか。それが問題だ。少なくとも今期いっぱいは頑張ってくれそうなので(根拠はOP)、ここ数シーズンみたいな「釣り」はないと信じたいが、果たして。

◆平西「もしかして刑事さん、誤解されやすいタイプですか?」

 ここで的確に青ちゃんの性質を言い当ててるので、元教頭の組合長こと平西さんは真っ先に犯人候補から外れちゃうよな。メタ読みで。矢沢さんが心なし、これを当てられて嬉しそうにしてるように見えるのがなんともw
 しかし当の青ちゃん本人は「心外」とばかりの反応。この男……誤解されやすい自覚がない。そうだよなぁ。青ちゃんって一応、(本人的には最大限に)フレンドリーに聞き込みしてるつもりだろうしなぁw

◆マナカナのどっちか

 今回はカナさん。マナさんも出てるのでめっちゃややこしい。
 そんなこんなでカナさん、えらい筋肉質な体に見えるけど、鍛えてるんだろうか。なんかこう、引き締まってない? 「クラブのママ」って単純に見えないのは、体が引き締まってるからじゃないだろうか。役者としては引き締まってる方がいいと思うが、クラブのママとして見るなら、もうちょっと丸みあっても良さそう。ただの偏見です。
 偏見じゃないことを言うと、割と体が引き締まってるので「力のない女性に……」とか言われても、「普通に植木鉢ぐらい持ち上げそうだけどな……」とか思っちゃってマジゴメン。我ながら風評被害だと思います。

◆浅輪「えっ? 指名手配犯とかじゃないの?」

 301号室の佐野さん(自称経営者)を訪問した後のやり取りでの発言。
 もしそうだったらピンとも来てない他の面子や警察関係者の大問題だろ。何をそんな軽々しく言ってんだw
 ここは「浅輪さんも適当が過ぎる」と思うべきなのか、「浅輪さんがそんなこと言うほど、佐野さんの第一印象良くないよね」と思うべきなのか……

◆あおやざ適当イングリッシュ

 というか、青ちゃんが適当。矢沢さんは現代の利器(スマホの翻訳機能)をちゃんと使いこなしている。

青柳 「通じてんじゃねぇかよ!」
矢沢 「通じてますよ!」

 スマホの翻訳機能、マジ便利&優秀。私の会社の同僚さんも、それ使って外国人の観光客を道案内したことあるって言ってた。すげぇな。

青柳 「ああ……ホエア……アーユー……教える、全部。知ってることを、ポリスに。オーケー?」

 令和の現代で、このキャラクターでゴリ押しできる「青柳 靖」の強さ。そりゃ演者さんの力が多大にあるだろうが、それでもそれを成り立たせてるのは『特捜9』だからだろうなぁと思う。
 今回のテーマ「多様性」じゃないですけど、こういった青ちゃんのキャラクターも許容できる世の中であってほしいと、青ちゃんが好きな私は思うのですよ。取調べ時に机ひっくり返すの、好きだったぜ。

◆志保「私の夫も、車椅子なんです」

志保 「悔しい気持ちはあるみたいですけど、前向きな人なので、助かってます。でも、色々大変ですよね」

 で、その村瀬さんは……今期、出るのかい? 出ないのかい? どっちなんだい!
 公式サイトの扱いからすると、1~2回ゲストで出れば御の字かなぁ……寂しいけど、仕方ないのかな。

◆何故「バベルの塔」を飾っているのか?

 208号室の島川さんが、「バベルの塔」の絵を飾っている理由。
 彼の過去を知ると、そこもなんかこう……深く聞いてみたい気はする。
 もしかして今回みたいに、コミュニケーション不全から起きた事過失致死だったりするんだべか……

◆なんで皆が見てる中で捜査会議してるの!?

 普通に話が聞こえそうな距離感で、すげぇ重要な話してるじゃん……
 今回はシーンが特捜班と事件現場(アパート)にほぼ限定されてて、庭で捜査会議やってるのもそこが小劇場の舞台っぽくて異質な感じがあった。それを良しと捉えるか否かは、人によると思います。私は半々かな。
 いやだって、前半ではほぼその距離感の無さが問題にならなかったのに、まさか後半でそれを利用して犯人を罠にハメます、なんて作劇上の大仕掛けするんだもん。主任が犯人を罠にかけた、それ自体はいいとして、作劇上でルールが一貫してないのはちょっと気になる。気にし過ぎなのかな。

◆国木田「ええ。あえて」

 早瀬川先生に「今回は、現場には行かれないんですか」と尋ねられた際の返答。
 ただ初回を見ただけの時は「きゃー! 国木田班長の強者ムーブよ!」と単純にはしゃいでいたんですが、第3話の予告を見てしまうと、意味深なものに見えてしまう……やめろ……いや、辞めないでくれ……
 そんな国木田班長、この初回ではピンポイントな登場ながら被害者の過去を調べたりなんだりで陰の活躍。ぼそっとツッコミ入れたり、出番は少ないけど印象的な出番は多かったと思う。第2話と対照的。

◆青柳「なんか最近、若い女と話噛み合わねぇのな」

矢沢 「そういえば、よく高尾さんと揉めてますもんね」
青柳 「時代ってヤツかなぁ」
矢沢 「年ってヤツじゃないですか? ……フッ」

 視聴者のみんなが思ったことを直球でえぐっていくスタイルの矢沢さん、青ちゃん相手にそれはあなたにしかできない……しかも最後、鼻で笑ったよなw ひどいw

◆おこな由真ちゃん、宥める志保さん

 由真ちゃん相手だと一気にママみというか姉っぽさが増す志保さん。村瀬さんのバディだった頃と、態度が違う……同じ宥め役として見ても、由真ちゃん相手にはだいぶ優しいし、気を使っているようにも見える。
 たぶん志保さん、仮に村瀬さんが同じように相手にキレてたら、もっと突き放してるでしょ。もっと対等にその態度に怒ったりキレたりするだろうし、最悪、放っておくとかするかもしれない。そうはしないってことは、由真ちゃんを可愛がっている証拠でもあり、ある意味ではまだ由真ちゃんのことを「一人前」とは認めきれていない(庇護の対象だと思ってる)ってことでもあるのかな……第2話しかり。

◆「年収は大人の偏差値チャンネル」

 犯罪はコスパ悪いです。その通りだと思う。ソースは『相棒』『科捜研の女』。どの話のことかわかったら、あなたも私の仲間です。
 しかし新藤くん、相変わらずサブカル系というかなんというか……インフルエンサーには一通り騙されてそうだな。いや、「騙す」とかいうと世間一般のインフルエンサーには失礼なんだが、なんか新藤くんは騙してきそうなインフルエンサーにめっちゃくちゃ引っかかってるイメージある。なんでだろ。ごめんね。

◆動画の光源の矛盾に気づく浅輪さん

 その観察眼は係長エミュなんだけど、光源云々は普通に「動画撮影の時には、他の方向からのライトを使ってました」とかで通りそう。なので三ツ矢くんはちゃんと「背景全部偽物合成です」と突き止める。有能。

◆国木田「バベル……混沌。現代社会の縮図みたいなもんですね」

 ちなみに、「バベル」という言葉には「混沌」そのものの意味は無いそうで。
 

 1.摩天楼、高層建築物◆【参考】Tower of Babel
 2.空想的計画、架空の計画
 3.言葉の混乱、たくさんの人の話し声が混じって聞き取れない状態、騒がしさ

babelの意味・使い方|英辞郎 on the WEB

 国木田班長の意図としては3か。確かに、そういう意味では特捜班は常に「バベル」かもしれない。

◆管理人さん、いい人だった

 住人たちから回想されてる時は、「そうは言っても裏があって、実は巧妙に住人たちを陥れようとしている黒幕タイプの悪人なのでは……」とか思ってたんだけど、そのうち浅輪さんが「刑事さんはなんだか、管理人さんに似てますね」(意訳)とか言われだし、その説は脆くも崩れ去ったのでした。まぁ、浅輪さんは「オセロ」ではあるけど、紛うことなく善人なので……

◆女と言ったら青ちゃん、子どもと言ったら矢沢さん

 住人である角山さんを疑うか否かで揉める青柳さんと矢沢さん。女と言ったら妙子さんを重ねて青ちゃんはかばうし、子どもと言ったら父親として矢沢さんが吠える。

矢沢 「女性はみんな、妙子さんと違いますからね」

 なんか今回の矢沢さん、妙にセリフの切れ味鋭いな。いや、青柳さんとの関係性を考えると許される範囲ではあると思うけど、これ関係性違ったら割と決定打になりかねないセリフだと思う。それが矢沢さんの口から出てて面白い。そういう話です。

◆由真「嫌な感じですね。咄嗟の言い逃れで、あんな嘘ついて」

 割と今回、由真ちゃんがずっとキツいこと言ってる印象が強かったな……と思う。その印象を和らげるための第2話、だったら良いと思う。実際に和らいでいるかはともかくとして。

志保 「捜査だから言うんだけどさ、由真ちゃんが苦手なタイプだから、余計に疑っちゃってるってこと、ないかな?」

 こんな気遣わしげな志保さんを見られるのは、由真ちゃんとのコンビの時だけ!
 いや、昨年まではどうだったかな……思い出せないな……
 さっきも書いたけど、少なくとも村瀬さんとのバディの時では見られなかった反応なのは間違いない。「ちょっと言い過ぎちゃったかなぁ」と反省までしてるし。
 そういう意味では、あおやざ以外では結構コンビシャッフルが起きる現状、意外と嫌いじゃない。

◆特性を活かしますから!

 窓の外からも念押しする新藤くん、面白いな。

◆キュア浅輪

島川 「今回の事件も、疑われますよね?」
浅輪 「……いいえ。きちんと、罪を償おうとされてるみたいですし」

 これぞ係長の薫陶を受けたキュア浅輪。中年男性もプリキュアになる時代。なってねーよ。
 それはともかく、今回の中で一番、ここが係長エミュだったのではないでしょうか。罪を憎んで人を憎まず。その心こそ、浅輪さんが係長から受けた最大の教えだったのかもしれない。いやしらんけど。
 最後の大芝居は係長エミュっぽくはない。むしろ係長だったら、あんな風にやらないだろうし。やるとしたら、もっとガチでやるよ係長は……(大芝居で仲間をぶん投げた過去がある)(あれは娘の命がかかってたから)

◆浅輪さんはどの時点で大芝居をすることを決めたのか問題

 種の話をしてた時点では、まだ大芝居をするつもりはなかったんだろうか。浅輪さんの話からすると、最初から犯人はわかってた上で決め手として大芝居を打ったっぽいし、種の話が布石だったんだから、結果からすると布石としか思えないんだけど……なんか引っかかる。
 細かいことはどうでもいいとは思うんだけど、気になる。浅輪さんが引っかき傷を見つけるの、種の話をした後なんだよねぇ。この順番が逆だったら、割と素直に腑に落ちてたんだけど。これは……どうなんだろ。演出の問題?

◆浅輪「だったらお前がやれよ!」

浅輪 「みんながバラバラなのは、俺のせいじゃないでしょ!」
青柳 「えっ? だからって、俺らのせいってこと?」
矢沢 18年もやってきて、今更それ?」
志保 「そんなの、主任になる前からわかってたことでしょ?」
由真 「前から思ってたんですけど、私たち、一緒にやるには考え方が違いすぎますよね」
新藤 「確かに。無理してまとまろうとするのが、間違ってたのかもしれません。主任じゃ尚更ですよ」
浅輪 「ああ……じゃあもう、解散だわ。特捜班、解散!」

 やっぱり今回、矢沢さんだけ妙にセリフのキレよくない? じゅ、18年……自分の視聴歴をも思い出して、目眩がするな。もうかれこれ15年はこの『9』メンバーを見てきてるのか私は。
 そして、それだけ係長を始めとした人たちとの別れから日が経っているということでもあるんだな……切ない……
 それはそれとして、表題のセリフは後に由真ちゃんが皆の前で擦ってて笑った。浅輪さん、あんた由真ちゃんにどう思われてんだよw 由真ちゃんもなかなか意地が悪い。真面目なだけの優等生、ってだけじゃないのが由真ちゃんの魅力なのかもしれない。村瀬さんとは違う意味での「真面目なだけじゃない人」だよね。
 で、これらはもちろん犯人を騙すための一芝居。CMこそ挟んだものの、明けてすぐ「はい嘘ですー。ちゃんと視聴者さんの予想通りですー」と言わんばかりの話運びで、ストレス自体はそんなになかったんじゃないかな。ファンの贔屓目かもしれんけど。
 まぁしかし、また公判維持が難しそうな落とし方を……防犯カメラの映像だけで、殺した物証と言い切るのはなかなか難しそう。だからこそ一芝居打って、犯人の心を折って自白させるしかなかったんだけども。

◆相互理解は難しい

井上 「人と人は関わらない方がいいんです。『話せばわかる』なんて踏み込む方が傲慢。身を守る一番の方法は、関わらないこと……けど、それは寂しいことじゃない。次の時代へアップデートされるということなんです。管理人さんは時代の変化についてこられなかった。古臭い考えで、しつこく関わろうとして……だからこんなことが起きたんです!」
浅輪 「そうじゃない」

 ここでも働くキュア浅輪。

島川「管理人さんは、このマンションに集まる色んな人の色んな生き方を、誰ひとり否定せずに、認めてくれるような人だった気がします」

 しかし、犯人の井上さんの「人は孤独である方が良い」という生き方は、否定されてしまった(と、本人は感じた)。
 もちろん被害者は善意でやってたんだろう。相応の過去があって、だからこその行動なのもわかる。でも、「ひとりでいたい」はそんなに否定されなきゃならん願いかな? とも思う。
 難しいけどね。だからこその国木田班長の言葉よ。

国木田「『違うからわからない』じゃなくて、違うからこそ、わかり合おうとしなくちゃいけない」

 近年話題の「相互理解」の第一歩ですよね。
 あと、仮に被害者に非があって犯人の言う通りだったとしても、自身で上記の言い訳をしてしまった時点でそれはもう無に帰していると思う。「自分には理由があった!」と言うなら、相手にも理由があることを認めないといけないんだよね。そうでなくては、道理が通らない。

◆あの花の名前は

井上 「もういいです! 僕は林田さんが正しいとは思いません。関わってこなければ死なずに……殺さずに済んだんです!」

 ここで拒絶、断絶を示すのが新しいと思った。井上さんには井上さんの生き方があったんだし、これからもある。それは事実だから、ここで簡単に相手に染まるのも、それはそれでおかしな話ではあるんだよね。
 だけど、彼と浅輪さんはパトカーの前で語ります。

井上 「あの時、皆で揉めたのは、僕をおびき出すためですよね? いつ示し合わせたんです?」
浅輪 「ああ……いやあれは、まぁ……あの場で、咄嗟に……それで、すぐに気づいてくれて」
井上 「……なんで、そんなことができるんです?」
浅輪 「いやぁ……なんで、なんですかね?」
井上 「バラバラで、連携の取れてないチームだと思ってました」
浅輪 「……そうなんですよ。バラバラもいいとこなんですよ。いや……でも、なんでだったんですかね……なんか、普通に『あの人たちだったら、わかってくれるもの』だと、思っちゃってましたね」
井上 「もうひとつ、聞いてもいいですか?」
浅輪 「どうぞ」
井上 「管理人さんが僕のために選んでくれたのは、なんという花だったんでしょう?」

 井上さんからしたら、「キッショ なんで(示し合わせてること)わかるんだよ」(by『呪術廻戦』)とか言ってもおかしくない場面なのに、言うことは花の名前を尋ねること。
 お、オシャレ~~~~~~!!!!!!
 しかもその花の名前も、意味も、作中で明言することがないってのがオシャレ過ぎて震える。勝手に震えてろ。管理人さんが選んだ花の名前は、浅輪さんが管理人室の壁に貼ってあるのを見つけた時に映るのみ。なんだよなぁ。ことさらにセリフで「選んだ花の名前は○○。花の意味は■■で……」とかやらない。そこがクール。いい。
 先ほど「相互理解」のワードを挙げましたけど、その第一歩、の前にあるのは「相手のことを知りたい」という気持ちなのかもしれません。どうして、あんなことができたんだろう。自分のために選んだものは何?
 そうやって、「知りたい」と踏み出した先にあるのが「相手のことを知る」ということ。そして、一歩一歩踏みしめて、少しずつ相手のことを知っていく。あくまで少しずつ。
 井上さんと被害者の間に足りなかったのは、ただただ「時間」だったのかもしれないなぁ。管理人さんも、もしかしたら花見パーティーに間に合わせようと焦ってたのかもしれない。とか思うと、余計に悲しい。
 ちなみにこの話のクールさをぶち壊す真似をしますが、登場人物の部屋番号と植木鉢の花の名前、花言葉一覧をまとめたものが下の画像になります。ご査収ください。色別に花言葉が違うものは、植木鉢が映った時に見えた色(井上さんの場合は最後に管理人さんが抱えてた色)から推測したものを載せています。

 クリックすると大きくなって読めるようになるよ。
 ……花言葉とかが合ってるかは微妙、というか、殆ど合ってないんじゃないか? 合ってるのは島川さんぐらいじゃないか?
 ということで、キャラクターに合ってそうな花言葉がある色の分も載せておきました。
 これは……どうなんだろう……美術さんが頑張りきれなかった案件? それとも、視聴者が気にし過ぎ案件? せっかくお話では花の名前を明言してないんだから、勝手に想像してろってか? いやでもこれ、ドラマだし……映像の力ってすごいし……
 ちなみに、画面に映った分の花の名前、全てを記載したのが下の画像です。こちらも合わせてご査収ください。

◆怒涛の伏線回収タイム

 エピローグは言い訳タイムじゃねぇよ! とヒネたことを言い出す視聴者(私)をぶっ飛ばすお祝いムード。人が死んでんねんで!
 しかし、鉄板ネタだろうに「(出身地は)江戸川区です」にやられた。しかも、中の人も日本人じゃねぇか!!!!!!!!!

雑感

 特捜班のチームカラーと舞台になったマンションの住人たちのコミュニケーション不全を「バベルの塔」に擬えて事件を展開していき、最後まで犯人には「相互理解」を否定させる。しかし、特捜班の特色を知った犯人が最後に尋ねるのは、他の何でもなく花の名前ってところが最高にオシャレ。そしてその意味、答えを劇中で示さないのもナイス。
 浅輪主任のお芝居は、視聴者からすれば見え見えだったけどだからこそ長引かせないところが見せ方としてよかったし、係長だったらこういうことをやらないか、やったとしても見てて洒落にならん感じになりそうなので、そこらへんで『係長エミュ』との差別化できててよかったのではないかと思いました。
 上でグダグダとケチをつけてはいるんだけど、見た後に「面白いもん見ちゃったなぁ……」と息をつきたくなる感じがあった。
 シリーズの特色を押し出すことに全てを賭けた初回だったと思うんだけど、描き方、見せ方が本当にオシャレでただただ面白かったです。

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