第9話 仮釈放
ゲスト:井上和香
脚本:ハセベバクシンオー
監督:和泉聖治
なんというか、どうコメントすればいいのか困る。
先週は骨格からガタガタで穴だらけだったので存分にツッコめましたが(そんな気力もなくなるぐらい酷い話だったけどね)、今回はストーリーに入り込めないまま終わってしまった回。
淡々と進み、淡々と終わり、どこで盛り上がればいいのか全く分からなかった。メインゲストのはずの井上和香の存在も薄いし、何を書きたかったのかわからん。
多分、バクシンオーの本業である小説で読んだら面白い話なんじゃないか。そんな話でした。
というワケで、本日の感想。
◆仮出所するときって、あんな誓約書を読まされるんだ……
山辺さんがものすごくハキハキしていて、服役囚だということを忘れさせられる場面でした。
◆更生保護施設で山辺の隣の部屋にいた高橋さんが、今回1番の見所かつ収穫。
口は軽いし手が早い(窃盗的な意味で)お方ですが、憎めない、いいキャラしてたなあ。
神戸くんにその手癖の悪さを「病気」扱いされてたけども、それよりも気をつけるべきはその口の軽さではなかろうか。2回も「語るに落ち」ちゃってたし。
ということでそこをつかれ、自業自得とはいえねちねちと特命に追い回される高橋さん、哀れ。
◆墓に物、しかも金と覚せい剤を隠すなんて罰当たりだな。そしてそれを、いくら捜査のためといえどあばいちゃう右京さんも罰当たり。なんか『バードランド』のハムスター・リスのアレを思い出した。
やっぱり右京さんには霊感の類がないから、祟りとか幽霊とかが怖くないのかね。どっちかというと、幽霊が現れたら嬉々としてそうだし……
◆美代子を取調べている最中、堂々と入り込んで堂々と伊丹から椅子を横取りする右京さん。
んで、美代子がゲロったことをきっかけに、切り替えの早い伊丹さん。それにやや懐疑的な芹沢くん。
しかしワカパイ、覚せい剤所持の共犯だろうに帰しちゃっていいの? ものすごく堂々と自白してたのに。覚せい剤所持の時効って何年なんだろう。
◆無意味にエロいカッコさせられてるワカパイ、演技は予想してたより普通でした。谷間は目立ってたけども、ぶっちゃけゲストの割には空気というか……
「ご利用は計画的に!」とか中の人はCMで言ってたけども、美代子の場合は覚せい剤とともに隠してあった一千万もの金を無計画にパッと使っちゃった上、それを悪びれもしない清々しいタイプの悪女でした。
◆久々に出た気がする、右京さんの引っ掛け。ちまちまと本に穴を開けている右京さんを想像すると、ものすごく怖いというか「うへぁ」って気分になる。うん、やっぱり特命を敵に回しちゃいけねぇなと思った。
さすが本職ミステリ作家だと思ったのは、「語るに落ちる」パターンは3週連続ですが、1番上手かったところ。高橋のうっかりっぷりが目立ってたせいもあるし、私がバカなだけかもしれないけど、言われるまで気づかなかった。
でもぶっちゃけて言うと真相解明シーンの時、一瞬「誰これ」と思ったのは私だけじゃないはず。さりげなかったとはいえ3週連続で「語るに落ちる」ネタってのも微妙な話。
犯人の動機は、結局金ってことでいいんだよね? 何か、そこらへん殆ど触れられないまま終わっちゃったので消化不良です。覚せい剤手に入れても、捌くルートを彼は確保できたんだろうか。前半のgdgdすっ飛ばして、もう少し犯人の描写に踏み込んでもよかったのでは。
◆ラストの暇課長がいい味出してました。犯人について「苛められるだろうな」とか、からかうように笑っていたかと思えば、なんだかんだで特命を心配している優しい人。
違法捜査スレスレどころか、今回の引っ掛けは違法そのものだった気がしないでもないけど。
何か意味ありげな言い方をしていた気もするこの発言、シーズン8最終回のフラグってことはないよね? 違法捜査がとうとう咎められて、右京さんが逮捕されてしまうとか……
当の本人たちは、「何のことでしょうね」とすっとぼけているので、どうやらその心配はするだけ無駄のようです。うん、この人たちの辞書に『反省』という言葉はないんじゃね。
◆今回の右京さんと神戸くん、活き活きしてたなぁ。特に高橋さんとのやり取りでは、もう高橋さんが気の毒になるぐらいに。
「俺が知るワケないじゃん」「病気? みたいな」「遅いよ、もうw」 神戸くんがウゼぇ。「ああ、こんなヤツらが実際にいたら絶対に鬱陶しいなぁ」って思ったもん。
キャラの掛け合いはそこそこ楽しかった。ただ、事件関係者の魅力がないんだよなぁ……(高橋さん除く)
◆『相棒』着せ替えって誰得。
元のサブタイだった『不正通信』についてがメインだったのか、山辺殺しの犯人を当てることがメインだったのか、はたまた覚せい剤の行方を巡る話なのか。イマイチ描写の焦点がボケていて、よくわからないまま終わってしまいました。
というかコレ、単純に単行本1冊の物語を1時間に纏めました、って感じに見えたなぁ……かと言って、2時間でやられても絶対ダレるだろうし、元々ドラマ向きの話ではなかったんじゃなかろうか。
当然といえば当然なのかもしれませんが、ドラマと小説のフォーマット・テンプレって全然違うのよね、そして脚本がドラマになるには、演出と演技というパーツが乗ってこそなのよねと改めて思わされた回でした。
なのでちょこっとメモにも書きましたが『演出次第でいくらでも化けた話』だと感じました。
元日SPの予告が出てましたけど、なんだアレ。
神戸さんの大学時代の恋人が出るとかで、神戸さんフィーチャー回再びになりそうでもあるんだけどとにかく、『特命係、西へ』って、本当にサブタイなんですか。今の段階だと仮題ですけども。これを見て鬼束ちひろが浮かぶ私はゆとり世代です。
公式のレポを読む限り、浅見みたいな旅情2時間サスペンスって感じだなぁ。30分多いけど。
どこかの雑誌インタビューに松本Pが答えて曰く、「ダヴィンチコードのような歴史ミステリ」らしい今回の元日SP。まさかそれ、本気だったりしないよね? 不安だなぁ。
まぁ、戸田山脚本だし、お祭回として見るのが正しいのかねぇ……
元日SPはネタ回のようなものなので、ほろ酔い気分で楽しめればよろしいとは思いますけども、何か空回りしそうで不安だ……とりあえず、期待はしています。