File.9 解剖を拒む女
ゲスト:濱田マリ、小倉一郎、細山田隆人、森日菜美
脚本:櫻井武晴
監督:森本浩史
この中で一番衝撃的だったのは、若村さんの「風丘早月10年目」でした。マジかよ……
加入10年目のキャラが、初期からのキャラじゃなくて途中参戦のキャラである、ってのがすごい。いやもう、改めて言うのもバカみたいだけど、『科捜研』って本当に長いことやってんだな……
メッセージは、日野所長もとい斉藤さんのが好きです。味わいあるコメント。
そして蒲原青年もとい石井さんのも好きです。やはりダジャレはいい。
『科捜研の女』で、「実現したらいいな」は?
— そらいろ (@akanegarnet) 2017年1月7日
そういうことでアンケート第二弾とその結果です。前回よりも、かなり多くの方の投票をいただきました。ありがとうございました!
選択肢は、4つの票数がもう少し均等にバラけることを予想して勝手に考えました。
が、実際は結構な差が出て驚きました。レギュラー再登場お祭り劇場版が半数近く。過去レギュラー再登場の希望は根強い、ということでしょうか。
上2つは、「ベスト15」と「AbemaTVにて」がネックになったかなとは思いますw
「全seasonのDVD化」とか「CSで一挙放送」とかだと、票の偏りが大きくなるかなと思ったんだけど、そっちでもよかったかもしれない。
再登場はぜひぜひ、と。時期的に言えば美貴ちゃんとか泰乃ちゃんとかか? あと、佐久間さんが今何をしてるかとかも気になる。
しかし『科捜研』のお祭り劇場版って、自分で言っといてなんだけどどんな話になるのか、まるで想像がつかないw
なんだろ、京都中が爆弾で火の海にでもなるんかな。発砲事件もたくさん起きて、なんだったら東京・横浜辺りも巻き込むんだよ。むしろ日本中がテロられる。で、その組織の中心が何故か京都にいる。で、マリコさんが過去レギュラーや現レギュラーの力を借りて頑張って事件解決。なにそれ燃えるわ。京都が。
はい、新年レギュラー放送初っ端の今回!
◆今回は昔からの音楽をちょこちょこ使ってくれててよかったなー。
◆呂太くんさん、開幕死体ビビリダッシュ。まだ鑑識さんが調べてるだろw
でも、現場の時点でも、死体(というかマリコさんたち)に近づいてきてるんだな。灯籠の陰に隠れたり、木にしがみついたりしつつも。
◆すっごい細かいんですけど、蒲原青年が「マリコさん」って呼んでて失望しました! 勝手に!
いやさすがに冗談ですけど、なんつーかこう、若手刑事さんには「榊さん」って呼んでてほしいな的な、超わかりづらい個人的こだわりがあるのは認める。
というか、みんなして「マリコさん」だと、マリコさんの名字が忘れ去られるんじゃねーかみたいな、そういう……
あっ、土門さんと藤倉刑事部長は「榊」って呼んでくれてる! そうか! やった! やっぱり土門さんと藤倉刑事部長が大正義!
◆被害者の奥さんの絵美子さんが遺体に近寄ろうとしていた時、亜美ちゃんが止めてたのが今回の話のストーリー的にものすっごい重要な感じでよかったです。
◆金田さんよかったね案件3回目。
藤倉 「捜査や検視で事件性が出ないのに、解剖は許可できない。何度も言わせるな」
マリコ「……わかりました」
藤倉 「だから、検視を続ける分には構わん」
以前の藤倉刑事部長ならこうやって助言をくれることはなかっただろうし、そもそもマリコさんだってこんなにあっさり引き下がらないだろうし、っていうかむしろ黙って勝手に解剖回すくらいは平気でやってたと思うw
藤倉刑事部長は対立しなくなったことで逆に鑑識課長時代からの有能さがわかるようになってきてんだけど、マリコさんはちょっと牙抜かれてる感あるな。
アレか、マリコさんってなんだかんだでライバルいると燃えて反抗したくなる人なんだな? 「逆境の時ほど燃えるタイプ」(自己申告)だし。
◆日本の警察が扱う死体の中で解剖されるのは、12%程度。
藤倉 「にも関わらず、京都府だけは異常に解剖率が高い。……誰のせいだ?」
我々が見てる分だけだと、(ドラマなので)当然ながらほぼ全てが事件性ありな話なわけですけど、マリコさんが検視して解剖に回す分の中にも事件性なし案件はあるらしい。前にそんな話、ちらっとやってたよね。あと、風丘先生も「ご遺体を解剖に回しすぎ」っつーてた時があったな。
藤倉 「だいたい、科捜研に検視の義務はない。だがお前は、勝手にやっている。それならたまには、検視で結果を出せ」
それ言っちゃうのか、からの藤倉刑事部長のわかりづらいツンデレいただきました。つまりマリコさんが検視をすればどんな形であろうとも真実はわかるであろうっていう、きちんと能力を認めてるが故の台詞ってことやね。ホント、藤倉刑事部長ってツンデレ。
マリコ「わかりました。検視で事件性を見極めます」
で、この台詞で奮起するマリコさん。やっぱりマリコさんって、縛られると興奮するタイプか……(語弊のある言い方) 理不尽なクソゲーを黙々とやりこむタイプだろ。逆境の時ほど燃える。
◆風丘「なんで私まで?」
文句言いつつもきてくれる風丘先生もツンデレか。でも風丘先生からマリコさんへの好意はわかりやすいんで、ツンデレ感はないよね。あと普段からのこき使われ具合がハンパないので、そりゃ文句ぐらい言うわいなっていうw
全然関係ないですけど、最近若村さんがインスタを始められたらしく、ちょこちょこ現場とかの写真が。んで、風丘先生ルックになる準備とかもしてたぞ。今回はなかった「開いてみましょうね」もあったぞ! 要チェック。
◆呂太「わかってる、わかってる! そろそろウザいよね!」
人からどう見られているのか、ってことを案外冷静に自覚できてるんだから、呂太くんさんも悪いヤツじゃないよな。
ぶっ飛んだことやってても、こういう基本的なところが身近だと安心する。「死体怖い」ってのも身近な感覚なので、安心する。
そしてそれがきちんとひとつの話になっているのが、私は大好きです。
呂太「この人こっち見てるなう!」
「なう」なんて、もはやTwitter民でもネタ以外で使わないよな。呂太くんさん、実は意外にネタ大好きなウェーイ勢だったりするのかね。
◆検視のために必要なことと言えど、注射針を遺体の首の後ろに差すのを「ちょい怖ですね!」で済ませられる辺り、亜美ちゃんもだいぶ慣れたよな……って思います。
いやでも、亜美ちゃんは元々最初から結構肝っ玉座ってたよな。今まで数々のご遺体に触れた中で、見た時に悲鳴あげたり怖がったりしてたのは、腹を切り裂かれてぐちゃぐちゃに臓物取り出されてた案件と、黒焦げの焼死体ぐらいじゃなかろか。前者なんか、ベテラン勢ですら顔をしかめてたぐらいだしなぁ。
◆日野所長の鑑定は、パソコン使ってシミュレーションっていうよりも、模型とか手作業で実際にやってみる、みたいなノリなので見てて面白い。あのわずかな時間映っただけの粘土によるシミュレーションも面白かったなぁ。
いやおそらく日野所長がどうこうっていうか、やってた鑑定の内容が「血液付着シミュレーション」なので、粘土で模型作って模擬的にやってみた方が確実、みたいなそういう話なんだとは思うんだけど。
◆新事実がわかった時点で、曲がりなりにもきちんと正攻法で藤倉刑事部長に司法解剖の許可をもらってる辺り、マリコさんも色々学習してるな。あそこで報告しないメリットがない、って言われりゃそうなんだけどもw
あのシーンだけで、「そうか、つい2、3年前とは違うんだな」という気持ちになる。
◆そうか、亜美ちゃんももう劇中で回想シーンを使われるぐらい、長いこと科捜研にいるんだな……
そしてあの当時は、マリコさんの言葉に「わかります……なんとなく」だった返答が、時を経て呂太くんさんを前に彼女なりの確かな答えになっているのがわかる、っていうのがいいなぁ。
◆そういえば、呂太くんさんはこの科捜研に来る前は、いったいどこで何してたんだろうな。
少なくとも泰乃ちゃん以降の新加入メンバーは、前にどこで何やってたか、どういう経緯でここに来たかってのはわかったと思うんだけど、呂太くんさんは公式見ても書いてないな。
いつかあるであろう呂太くんさん回までぐらいには、それもわかるのかなぁ。
◆もしも絵美子さんが犯人だったら、それはきっとあの娘さんを傷つける残酷な真実だけど。
マリコ「たとえどんな残酷な真実でも、人は知らなければ前には進めない。……私は、そう思っています」
風丘 「……マリコさんは、警察の人だもんね……私とは違うわね」
でも風丘先生だって、そういう「残酷な真実」を知ってもちゃんと立ち上がれてるからな。亜矢ちゃんも大樹くんも、きっとそれをきちんと受け止めているから今があるんだと思う。
だから、風丘先生が今ここにいることこそが、きっと何よりの希望だと思います。
◆風丘先生が科捜研に来てもお菓子を持ってきていない回って、たぶん今までにもあったとは思うけど数少ないと思うし、そしてだいたいが風丘先生にとって災難な回である気がする。
なので、呂太くんさんが早くも「いつものスイーツは?」「え~? なんで? 先生は美味しいのもってくる人でしょ」と認識してるのも無理はない。っていうか、あの正月スペシャルから今回までの間に、放送されてないだけでやはり事件は起きているんだな。そしてそこで風丘先生はいつものとおりに差し入れしてたんだな……
で、
風丘 「呂太くん。私は差し入れ係じゃないから。ねっ?」
亜美 「えっ?」
風丘 「えっ?」
視聴者「えっ?」
日野所長も、なんだったら蒲原青年も若干怪訝そうで草。
そして視聴者の反応も一律で同じ。自覚がないのは風丘先生だけ。
でも風丘先生的には「自分が食べたいものを持ってきてるだけ」らしい(日野所長談)ので、自覚がないのも仕方ないのかもしれない。つまり風丘先生はたかられている……と……
◆風丘先生が宇佐見さんと亜矢ちゃんから「らしくない」と言われて笑って誤魔化そうとして目をそらしたのに、マリコさんとは目が合っちゃったってのがすっごい好きです。
そしてそこからぶつかるんだけど、きちんと信念を持った上でぶつかってるから厭味じゃない。大好きだ。
◆ドラマの解剖医は行き詰まるとだいたいご遺体に直接尋ねる。これは何が大元なんだろうな……
亜矢ちゃんは今も、この(ブラック企業寸前な)京都府警科捜研を目指して勉強しているんだろうか……亜矢ちゃんがマジで科捜研加入するぐらいまで続いてたらすごいだろうな。
◆呂太「そんなことまでわかるの? 鑑定で、死んだ人がどんな気持ちだったか、わかるの?」
なんだったら涙の痕からも感情がわかるぞ。
今回は呂太くんさんがきちんとご遺体に向き合う心構えをする話でもあったけど、それがきちんと段階を踏んで、しかも過去回の描写も交えつつ話を進めているのがすごいなぁ。
◆マリコさんと風丘先生(ガチモード)と宇佐見さんが議論する場かぁ……私は絶対その場にいたくないですw
風丘先生、常にマリコさんに振り回されているので忘れがちになるんですけど、めっちゃ優秀な人なんだよな。そもそも常日頃からマリコさんの無茶振りに応えられてる時点で優秀。
というか、こんな修羅の都で10年目を迎えられている時点で優秀。風丘先生も、今まで色々ありすぎたからな……
◆呂太「はぁーい!」
亜美ちゃんがさっと呂太くんさんを指してるのが細かい。
呂太「なんであの日に限って、あんなハードな運動をしたんだろう? 僕だってハアハアしちゃうぐらいなのに」
亜美「それは君が運動不足なだけでは?」
誤解なきように言っとくが、「ハアハア」に本来やましい意味なんて全く無い。この台詞に何か別のものを感じたら、あなたも毒されています。
亜美ちゃんは、他者との掛け合いをするとめっちゃ生きるよな。なんつーか、会話のテンポがいい。相馬さんとの掛け合いでもそうだったし、呂太くんさんとの掛け合いでもそれは失われていない。というか、マリコさん相手でも結構キレたツッコミ入れてる時がある。PCオタクな属性が薄れても、こういうところで存在感を示せるのは強いよな。
◆マリコさん、呂太くんさんはほっぺをつねるのか……
マリコさんって見てると結構、会話中に相手の身体とかに触れててドキッとするw 基本的に距離が近い。
でもそこに厭らしさを感じさせないから、やっぱりマリコさんって実はコミュスキル高いんだなーみたいなそういう。
◆呂太くんさんにとってエンドルフィンの話、つまり死ぬ間際の被害者の気持ちが検視によってわかるっていうエピソードはものすごく大きな衝撃だった。だから印象的で、ちゃんと覚えていた。
知らなかった状態から知った状態になったからこそ、他の面子が抱かなかった率直な疑問を抱けた。
そしてそれが同時に、呂太くんさんがこれからどうご遺体と向き合うのか、っていうものの答えのピースにもなっている。
っていうのが、とっても大好きです。
◆今回のマリコさんと風丘先生は、基本的に視聴者も他の面々も置いて会話していくな。つまり、我々視聴者はチャオズとかヤムチャなんですよ。この議論には着いてこられない。
◆おっ! 新年最初の50の恵ぃー!
◆今回の犯人たち、役名すらなく「大学生A,B,C」扱い。
致し方ない、名前なくても何も惜しくないぐらいのド外道クズだったからな。そもそも陸上部が大会前に練習サボってタバコ吸ってる時点でお察し。
しかしこんなバカたちでも、「自分たちの指紋がついたものが現場にあったらマズい」「血痕があるところに死体があったらマズい」「第一発見者を装えばいい」ぐらいはわかるんだから、事件モノドラマの罪は重いな。
◆お腹の隙間からはみ出る新聞紙。想像するだけで、うわぁ……
他のドラマでもそうだけど、『科捜研』でもこうやってご遺体の縫合の痕を見せるのは珍しいと思う。それをきちんと見せるから、風丘先生の仕事ぶり、優秀さがわかる。
いやマジで、「私、差し入れ係じゃない」に「えっ?」とか言ってる視聴者はまとめてぶっ飛ばされないといけない案件。そんなこと言ってると、珍味スイーツとか食わされるぞw
風丘「いいえ! あなたは少しも悪くない! ……本当の悪人は、別にいたんです。決してあなたや、娘さんのせいじゃない」
これを言わなければ、風丘先生が今までしてきたことは全て否定されてしまう。大事な人を理不尽に奪われる辛さは、風丘先生が一番よく知っているもんな。
土門「その意味じゃ、風丘先生も、お前も、人を救うプロだ」
風丘先生の仕事も、マリコさんの仕事も、基本的には事件が起こってしまってからの仕事なので被害者が出ること自体を食い止めることはあまりできないんだけど、それでもどんな事件でも、真実がわかればどこかに微かにでも救いがあるかもしれない。
「科学で人の心までわかる時があるし、もしかしたら人の心を救うことができるかもしれない」っていう話。いや、今回は科学っていうか法医学、って感じだったけど。風丘先生メインだから。
マリコさんの、こういうロマンチックさが好き。あくまできちんと(マリコさんなりの)科学的根拠がある上でロマンチックなことを語ってるのが好き。
「解剖拒否されたなら、以前の話みたいにAi使えば?」っていう意見もあるかもしれないけど、今回は風丘先生を通した呂太くんさんの意識改革の話でもあるんで、「実際にご遺体に向き合い、触れることが大事」という話な以上、Aiまで取り入れてると話が煩雑になりすぎるから、これでいいんだと思う。
予告では「vs風丘先生」を全面に打ち出してたけど、実際は対立なんかしてなくて、マリコさんと風丘先生が信頼しあっているからこその話でした。
風丘先生からマリコさんへの好意ってわかりやすいんだけど、マリコさんから風丘先生への信頼って普段はちょっとわかりづらいから、こういう風にバシッと描いてくれるとすごく嬉しい。それに加えて、「風丘先生はただの差し入れ係じゃない」と優秀な面を描いてくれるのもすごく嬉しい。
そうだよ、我々視聴者はまとめて、風丘先生に珍味スイーツ5キロ食わされる刑に処されるべきなんだよ。
今期『科捜研』は、作中で説明がある・ない、ネタの大小は問わず、「知らなくても話はわかるけど、過去の回を知ってると、よりその話やシーンの意味が理解できる」みたいな過去回振り返りの要素が強いなーと感じる。むしろ、今期の裏テーマはそれなんじゃないかと思うぐらいにはほぼ毎回そういう要素が出てくる気がする。私じゃ拾いきれなかった部分にも、きっとたくさんそういう要素があるんだろうな。
これは長年やってるドラマでしかできないよな。ズルいわw
本当、話の枕で「『科捜研』ってマジで長いことやってんだな」って言いましたけど、それをドラマ外だけじゃなく、ドラマ内でもきちんと感じさせてくれるように作ってあるのはただただすごい。
18年の重みは違う、ってことだな。
そして呂太くんさんの「ご遺体に向き合うってどういうこと?」っていう話も好きだ。今期最終回辺りに、呂太くんさんが少しだけでもどう変わったかが見られたら嬉しい。
というわけで、次回!
マリコさんと土門さんが鴨川でしんみりまとめしてたと思ったら、「マリコ姫」ですよあーた。馬鹿野郎wwwww
「ただの『コントの劇場』じゃねーか!」も「既に『姫』を通り越して、『科捜研の女王』なのでは……?」も禁止。
そういや、『コントの劇場』で三宅裕司が「沢口さんがゲストだと、何故か脚本家は沢口さんを姫にしたがる」っつーてたけど、とうとう『科捜研』でも姫になっちまったのか……
次回はブログ(SNS)で偽りの自分を飾り立てる女の話。SNS全盛期の今にやられたら心が打ちのめされそう。映画の『何者』とかもキツかったよな……
次回は、もしかして今期は担当ないのか、と危惧していた岩下脚本だぁー! やったぁー!
そんなこんなで、次回以降も楽しみ! にしておりますよ!