【科捜研の女 2022】第7話 感想

科捜研の女
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第7話 ウマと話す方法

ゲスト:石井杏奈、住田隆、富樫慧士

 次回8話も「最終回」表記がないので、今期は全9話の12/20最終回。27日は『おかしな刑事』SPです。

あらすじ

乗馬ファームで馬主が殺害された!被害者の所有馬“ウィンター号”の脚に血痕が付いていたことから、この馬が犯行時に現場にいたと判断される。動物行動学者の生駒(石井杏奈)によると、馬は優れた記憶力を持ち、人間の顔を覚えることができるという。そんな中、新人俳優の潮田(富樫慧士)が捜査線上に浮上。マリコは生駒と協力し、ウィンター号による面通し実験を行うことに。一方、マリコは生駒のある言動に疑問を持って…!?

見どころ

◆闇夜に駆けるウィンター号

 今回の主演男優賞。
 演技上手かったし、カッコよくてかわいかった。素敵だった。
 撮影にはとても手間がかかっているらしいけど、それに見合うお話だったと思う。

◆土門「刑事は長いが、迷子の馬を捕まえたのは初めてだ」

 普通じゃない体験ばっかりしてる土門さんが言うと、なんか重みが違うな。
 白馬を連れた土門さんをどう見るか、それによって『科捜研』におけるどもマリ観が測れる説。
 「王子様みたい!」と思うか、「姫の側近にいる護衛」と思うか。私は後者派です。
 後にクライマックスで出てくるけど、白馬と並ぶマリコさんはまさしく姫。というか姫騎士……

◆生駒「もちろん、ウィンター号のことです」

生駒 「あなた方の前にいるのは、凶器や証拠のような『物』ではなく、一頭一頭異なる感情をもったひとつの命なんです」
マリコ「失礼しました。確かにALSライトには紫外線や赤外線が含まれています。短時間なら皮膚への影響は殆どないと思いますが、念のために採取してから別の方法で調べることにします」

 生駒先生、ウィンター号(というか馬)が荒っぽく扱われるのに我慢ならず自分から警察関係者に接触してしまう、という皮肉な登場シーン。そういう意味では今回の話って職人モノに近いのよね。
 その道の職人、いわゆる「プロ」には敬意を払うマリコさん。生駒先生にもそうだし、ウィンター号に対してもそう。今回のマリコさんはミステリ大好き戸田山さん脚本による名探偵なので、そういう紳士淑女な態度も重要。

◆亜美「馬にもレギュラーとかあるんだ……」

 そりゃあるじゃろな。上様が乗られる白馬が毎回変わってたらそれはそれで嫌じゃろ。

◆マリコさんが潮田さんを見る目よ

 土門さんの眼光が鋭いのは元からだが、マリコさんの眼光も鋭いんよ。その目つきはホント、ただの名探偵なんよ。怪しんでいるのを隠せてない。隠す必要もないかもしれないが、もうちょっとこう……なんかあるじゃろ。

◆宇佐見「あの生駒さんという准教授の論文を読んでるみたいですよ」

 科学者なので論文は当たり前に読むマリコさん。常日頃から読んでるんだろうな。月に何本ぐらい読んでるんだろう? とかいうのは科学者のことなんにも知らない素人の疑問か?
 有名な話ですけど、脚本家の櫻井さんは寝る前に科学の論文を読んでるらしいですね。おかげで『科捜研』のネタが尽きることはないと豪語してた。論文面白いよ、と語ってたっけ。すごいな……
 そして今回はその論文を読んだことで生駒先生とのファーストインプレッションが怪しいと気づけたんだから、マリコさんは立派な科学者名探偵(?)です。なんじゃそら。

◆君嶋「ホントですか!?」

 今までの感じだと君嶋さんは「科学的に立証されてない事例を科学的に考察するのが好き」みたいな、あくまで科学オタクとしての食いつきの良さだと思ってたけど、「馬は満月の夜に大量に死ぬ・出産は盛んになる」とかは、ただの迷信レベルの話じゃなかろうか……
 とか、勝手に決めつけちゃうから私は逆に非科学的なのかもしれない。マリコさんだってそうだけど、まずはなんでも科学的に考察してみる、ってのが大事なのかもしれない。いや知らんけど。

日野 「なんだって……そんなに馬にこだわるのかなぁ」
   「ブルルルルルル……! 馬ねぇ」

 マリコさんのこだわりがわからない日野所長は、今回は名探偵になれない。いやまぁ、我々視聴者もよくわかんないんですけどね、マリコさんの思考なんつーのは。

◆土門さんがノックしてる!

 いつから土門さんはちゃんとノックするようになったんだっけ。昔は怒られてたのにな。
 マジで今期は毎回のようにラボに来る土門さん。ホントに出席率を気にしてたら笑えるな。そんな風に気にしてもらえて、嬉しく思いますよ。
 机に腰掛ける土門さん、リラックスしてるなーってのがわかる。被疑者や容疑者と相対してる時とは違う、ふっと気を抜いてるのがわかる。ラボ内が落ち着くなんて、土門さんも相当変わってますね(すっとぼけ)。

◆生駒「見かけによらず、強引な人……」

 今回、生駒先生の敗因は色々あるとは思うけど、マリコさんのペースに呑まれちゃったってのはあるよなーと思う。マリコさんと接触していなければ、ワンチャン逃げ切れた……かもしれない。わからんけど。
 まぁでも、生駒先生も、

生駒 「私的には、ウィンター号の能力を信じてもらえるのは嬉しいですけど」

 なんて呑気なこと言ってたので、これは普通に生駒先生の落ち度でもあるw 生駒先生、ウィンター号のことに関しては嘘がつけない。

生駒 「動物だって嘘をついたり、他者を欺いたりする時だってある」
   「動物だからって、無垢で純粋だなんて思わない方がいい。何より動物のひとつの種に過ぎない人間が、これだけ嘘や罪や矛盾を重ねているんだから……」

 そう思うと嘘をつききれなかった生駒先生は、逆に人間的なのかもしれませんね。色々と抱えるからこそ、打算や合理を捨てて嘘がつけなくなったりもする。それが人間。なのかもね。

◆ウィンター号の面通し

 今回のメインイベント。ここで「ウィンター号すげぇ!」とキャッチーなことをやりつつ、きちんと次に繋げるイベントもこなしているのでやっぱり今回は脚本力(ちから)が強い。
 呂太くんの写真キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!! 呂太くん、また出てもええんやで。
 呂太くんと並ぶのは君嶋さんの写真。「君嶋さん、ロケに出ないよね」を公式でイジってくる。そこにシビれる憧れるッ まぁ、次回は出るみたいですけど。
 そして続けざまに佐伯本部長、藤倉刑事部長をもチョイス。ドラマ上他に適役がいないとはいえ、勝手に組織の上司やトップの写真を使う科捜研、マジで怖いもの知らず。普通はこんなこと、あんまりしないでしょw

◆悪役ヅラの刑事組

 動揺して転んだ潮田さんを見てニヤニヤしてるふたり、思いっきり悪役でしたけどこれでも正義の味方やってるってのは笑え……笑っていいのか?
 まぁ、警察なんて権力持ったヤクザみたいなところあるよな。見た目怖いところが。そうじゃないとモノホンと張り合えないわけなんだろうけど。

◆風丘「ヒヒーン! 牧場のマフィーン!」

風丘 「馬を追いかけてるって聞いたからさ!」

 だからって馬のお菓子持ってくるっていうそのバイタリティと事前のお菓子リサーチ能力がホントすごい。風丘先生を突き動かしてるのは食欲らしいが、人間の欲望恐るべし。

風丘 「愛想なし……」

 でも直前、マリコさんは風丘先生に(一応)笑顔を向けていたので、これでも昔よりは愛想よくなった方だと思います。逆にマリコさんが愛想振りまいてたら、それはそれで動揺するだろうによく言うなとも思うw 風丘先生のココロは複雑。
 君嶋さんや日野所長も食いつくこのマフィン、これ、番組用の手作りだよね? すごいなぁ。かわいい。しかもお馬の顔も食べられるっぽい。チョコなのかな? すげぇな。

◆じゃじゃ馬マリコさん

日野 「乗馬ファームどころか洛西撮影所まで行ったり、相変わらずのじゃじゃ馬ぶりですよ」

 すげぇこと言われてる。でも日野所長、マリコさんがじゃじゃ馬じゃなくなったらそれはそれで動揺するだろうに。
 「じゃじゃ馬」と言えば初期マリコさんだと思うが、確かに今も十分「じゃじゃ馬」ではあるよな。相対評価か絶対評価かの差。

◆蒲原刑事を下から見てみよう

 別に事件の内容には全く関係ないのに、無駄に凝ったアングルで撮られる蒲原刑事。ここにも撮影班の涙ぐましい努力が。詳しくは中の人のツイート↓

君嶋 「歩行発電の原理は、人が歩いたり、モノが移動したりする際に、こうやって床を押す圧力エネルギーを、圧電素子が電気エネルギーに変換するものなんです」
マリコ「つまり、時間ごとの発電量から逆算すれば、圧電素子にどんな圧力がどのように加わったかを割り出すことができるかもしれない」

 蒲原刑事はこの説明で理解できたかな?
 とでも言いたげな亜美ちゃんの視線と、その視線に何も答えられない蒲原刑事の見つめ合いにワロタ。さすが7年以上若手組(?)やってるだけあって、このふたりも息ピッタリだな。

◆マリコ「蒲原さん。ファームから撮影所への道の一斉捜索をお願い」

 『一課長』はS3で死にました。それ以降は私の知らない子です。
 そんな個人的な思いはともかく、一斉捜索で証拠品とったどーする蒲原さんを顔文字と絵文字で表した亜美ちゃんの中の人のツイートがかわいかった。

 しかし証拠品を見つけてすぐに「マリコさーん!!!!」と呼ぶあたり、ホント君は科捜研担当になったな……と思わされる。初登場時のお前を今のお前に見せてやろうか!

◆榊マリコからの挑戦状

 今回はきっちり手がかりを提示していたので、マリコさんの回想シーンがまるで挑戦状のようで。
 あと、ウィンター号と向き合うマリコさんは姫であり騎士。カッコよい……
 それにしてもこの演出、今後の『科捜研』のお約束になるのかしら。

◆亜美ちゃんによるCDプレゼント告知

 直後の報ステとはステブレレスなので、CM明けに告知。
 しかし若手組のワチャワチャ告知がないと、ちょっと寂しい……

◆潮田さん、普通に頑張ってほしい

 オーディションで嘘をつくなんて普通にあるだろうし、それを克服するために乗馬クラブ通ったりしてるんだし、許してあげてほしいw 夜中にこっそり来るのはよろしくないと思うけど。
 まぁ、でも、ウィンター号の前での演技を見るとちょっと将来心配ではある。ある程度は大根の方が時代劇にハマるってホントですか?

◆酷いことをなさる

 生駒先生を問い詰める土門さんの口調や様子に違和感を覚えたんだけど、演技で良かったです。
 蒲原刑事が見つけた凶器がある以上、最後の大芝居は「犯人逮捕」の点から見れば無意味ではあるんだけど、今回は本格ミステリなので犯人の動機や行動までしっかり暴かないといけない。ので、こういうことをする。ひでぇことしやがる……生駒先生にもそうだし、ウィンター号への負荷もすごいじゃろ。
 マリコさんと土門さんは、ホントに落とし方がエグい。生駒先生が大切にしているウィンター号を使ってこんなこと……いやだからこその今回なんだけど、やはり名探偵は人間ではない。ハッキリわかんだね。

◆被害者最低だな!

 馬主としてというか、動物にこういうことする人は人間にも同じようなことしそうで。
 被害者はライト向けられて左目で生駒先生を見た。先程の話を思い出すと、ね。

◆マリコ「生駒先生の論文を読んで感じたの」

マリコ「動物の行動を知ることは、人間自身の本性を知ることだって」
   「なんの得にもならないのに誰かを守ったり、時には誰かに殺意を抱いたり……動物行動学者の彼女だからこそ、自分の中にある感情から目をそらすわけにはいかなかった。私には、そう思える」

 マリコさん本人には決してそんなつもりはないだろうけど、こうやって誰かに自分の感情や思いを掬い取ってもらうことは、一種の救いかもしれないよね。誰かが自分のことを理解してくれることほど、人間にとっての救いはない。
 先程「名探偵は人間ではない」と書きましたが、人の心をも掬える名探偵だからこそ救える人がいるのかもしれません。マリコさんは人の心をすくう科学者です。

雑感

 ウィンター号、お疲れ様でした! 演じたのはソウタくんと言うらしいです。賢くて素敵なお馬さんでした。

 「馬による面通し実験」とかいうキャッチーなことやりつつ、ちゃんと馬を使って犯人を語るに落ちる(ちょっと違うけど)させてるんだから今回はホント綺麗なミステリだった。さすが戸田山脚本……先週より満足度は上かもしれん。
 今期のテーマは「マリコさんvsプロ」もひとつだと思ってて、マリコさんが科学を武器にプロとガチンコで闘うシーズンだと思ってる。それ故に科学の裏の一面も見えてしまう……という副産物もあるけど。古久沢さん……
 つまり今期自体が壮大な「職人モノ」である可能性。あると思います。今のところ、骨回以外は好きです。骨回はただの人情回だったんで……
 やはりプロがプロを描くと面白いな。そう思わせてくれる今回、そして今期でした。めちゃくちゃ取材して、撮影も難儀したんだろうなぁ。でもそうやって手間暇かけてくれるから面白いんだよなぁ。いいなぁ。

次回予告

 次回は今期骨回の真部脚本回です。
 はい! 解散!!!!!(早いよ)
 さすがにそれは酷いのでフォローしとくと、次回はvs樹木医ってことで、骨回とは違い今期のテーマに沿ったものになる……と期待。して、大丈夫か?
 次回は日野所長も君嶋さんもお外に出る。そこは楽しみ。

ウマの博物図鑑
デビー・バズビー(著), カトリン・ラトランド(著), 小林 朋則(翻訳)
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