第7話 声
ゲスト:前田愛、松澤一之、高橋克明
脚本:尾西兼一
監督:石川一郎
何に1番驚いたかって、前田愛のいかにも幸薄そうな演技。もう梨園の妻になってるのに、なんだあの不幸のオーラ……どうしてテレ朝の刑事ドラマは、こういう女優を起用するのが上手いのか。
色々とツッコミどころはあったんですけど、それはもう原作からしてツッコミどころ満載だったし雰囲気で押し切った感があるので、ある程度は目を瞑ります。
そうすると、今までの話の中では1番マトモに見られた話かなー、と。諸手をあげて面白かったといえるわけではないんだけども。
しかし、なんていうか……このシリーズで、「小坂さんがいてよかった」と思ったの、もしかしたら初めてかもしれない。それぐらいしか救いがないもんなぁ。
先週の『警視庁・失踪人捜査課』と同じで、こういう話はどれだけ出来のいい話でも、素直に褒めづらいのが困る。雨の夜に合う話であることは確かです。嫌な話でした。
というわけで、本日の感想へ。
◆倉石さんの野菜を受け取らない永嶋さんは空気の読めない子。
野菜嫌いなの? なんでそんなに嫌そうなの? いやまぁ、いきなり渡されたら嫌だろうけども、美味しそうなのに。
さりげなく「彼女いるんだろ?」と原作設定に触れてますけど、今期で原作版『十七年蝉』はやらなさそうなんだよな……
◆そうか、小坂さん警部補に昇進したんだもんなぁ
取材ぐらいは来るかね。
◆一課の一之瀬くんきたぁ! スーツ、似合ってると思うよ。うん、オヤジさんによく似てるなぁ。
永嶋さんとは普通に打ち解けてるみたいだね。よかった。
小坂さんの人気に嫉妬する坂東さんと、坂東さんより小坂さんの方が写真写りいいからとからかう倉石さん。
……え?
◆ぎゃあああああああ
久しぶりに怖い死体キターーーーーー(序盤のホテルのアレ)
本当に序盤にしか出ない上に、本筋でもないのに、あの力の入れようは芸術。役者さんには本当に頭が下がります。
そこで、相変わらずド素人真っ最中の永嶋くんの面倒を見る小坂さん。今回は検視シーンが実質2回あって、そういう意味ではお得なお話でしたねー。迫力あっていい感じだ。
◆なんで編集部の人はいきなり「かくれんぼ」に来店してるんだろう。
西田先生は、倉石さんと一緒に来るのにかなり時間がかかったのに……不公平だ。可哀想だよ西田先生。
◆今回の容疑者の男2人が無神経な男なのは異論ないんですけど、これでも原作よりマシだっていうのがなぁ。
ぎりぎりセクハラの範囲内なだけマシだよなぁ。うん。いや、セクハラはダメですよ。ただ、どっちがマシかっていえば圧倒的にこっちってだけの話で。
◆レコーダーに愚痴吹き込んで鬱憤晴らし、って時点で「コイツ、ヤバいぞ」とわかってはいたんだが、安藤に首絞められてるときの目の演技でハッキリと「うわぁ」って声に出た。そして終盤の、レコーダーに声を吹き込む梨緒の演技にドン退き一歩寸前で引き込まれた。
なんていうか、役がぶっ壊れてる以上に、そんな役にハマってる前田愛の雰囲気に「うわぁ」って声が出た。
どうして前田愛はこういう幸薄い役しかやらんのですか……
◆一之瀬くん、刑事になってもちゃんと遺体に手を合わせてる。そこらへんはあれか、検視官時代の癖、というより得た心意気か。
◆小坂さんの検視も、なかなかキリッとしててカッコいいなって思った。ちゃんと倉石さんのやり方を吸収してるんだねぇ。地味に永嶋くんの記録もしっかりしてるし。
でも、小坂さんの見立てた方法での自殺だったら、いくらナイフが栓の役をしてるといっても、ちょっとは壁に血が残るんじゃない? ルミノール検査すれば真相わかるんじゃね? っていうのはツッコんじゃダメ?
◆安藤を追いかける際の一之瀬くん含め一課のナイスファイト。よかったね、一課に配属になってからも活躍があって。投げ飛ばしてから取り押さえるまで、カット割じゃなくてそのまま撮ってるよね。アスファルトの上で受身って、さすがにそれは痛そう。
しかし、相変わらず捜査はからっきしな様子の一課の皆さん。安藤を捕まえたのはお手柄ですけど、ファックスやメールの送信元を洗うとか、彼女のICレコーダーを調べるとか、彼女の過去の家庭事情を洗うとか、そういう基本的なことがまるっきりできてないダメな子。
他2つはともかく、押収してあるICレコーダーぐらい、とっくにデータ解析してないとおかしいでしょう。
ほったらかしだったとかいうなよ。せめて、一課はちゃんと調べてたんだけど気に留めていなかった、何気ない言葉が鍵だった。にしといてくれよ。頼むから。
と願ってたのに、本当に聞いてすらいなかったらしい件。おいおいおいおい……それでいいのか一課っ
安藤捕まえてる場合じゃないよ。いや捕まえなきゃいけないヤツだったんだけども。
◆前々から思ってたけど、小坂さんはちょっと関わっただけの人にも過剰に思い入れするよね。なんなんだろ。そこらへんが「鬱陶しい」呼ばわりされる所以なのかなぁ……今回だけは、その鬱陶しさに救われた部分があるけども。
今回だけは、小坂さんへ説教する倉石さんはよかったと思う。うん、今回だけは素直にカッコいいと思った。
その後、現場再検証してる時に永嶋くんが来たのもよかった。やっぱり、現場再検証は1人じゃ寂しいよね。
でもね、私女だけど、「女は部屋に写真は飾るもの」って決め付ける人はどうかと思うの。
いや、最近テンプレ化した2chの煽りでもなんでもなく、そうなんだってば。卒業アルバムはあるけど、基本的に写真とか好きじゃないんだよ。風景写真ならいざ知らず、人(それも、自分や知人が写った写真)は恥ずかしくて飾れないよ。
こういう決め付けは、やっぱり男性視点だよねぇ。
関係ないけどスーツ姿の一之瀬くんや私服の永嶋くんと並ぶ私服姿の小坂さん、ガッシリしす(ry)
◆キュウリかじるときの謎の演出と、変人倉石さんの突飛な行動にお茶噴いた。そりゃ、警官もビビるわ。
それにしても一之瀬くんは、なんていうか倉石班から一課へ出向してる感じだなぁ。まるで『相棒』でいうところの米沢さんというか、倉石班の便利屋みたいな扱いだぞオイ。それでいいのか、君は。
そしてもうちょっと頑張れ、ド新人の永嶋。登場したばっかりなのに、今回はいてもいなくても一之瀬くんでも変わらないような扱いだったぞオイ。それでいいのか。
◆本当にほぼ原作ルートで来るとは思わなかった。
どうせ動機変更とか、自殺だと思ってたら実は他殺でしたー、に逃げると思ってた。そこは評価したいです。まぁ、さすがにやっぱり内容的には幾分マイルドになってたけど。
最後は、ICレコーダーの内容と、彼女のために泣いてあげる小坂さんがいたから救われたような気がするしね。だいぶ内容のエグさが減ってたのは、今回ばかりは小坂さんのおかげ。ごめん、今まで鬱陶しいとか言ってて。
しかし、どう見ても倉石さんは最初から自殺だってわかってたよね。ならそれは、さすがに言わないとマズいんじゃないのか……
◆永嶋くんも「かくれんぼ」に、割とあっさり来ちゃったよパート2。
なかなか倉石さんと来られなかった西田先生が本当に可哀想です。
それはともかく、今回の事件で永嶋くんは倉石さんに続いて小坂さんのことも認めた、という解釈でよろしいんでしょうかね。少しずつ、検視官の仕事への責任感が強くなっていく、と。さて、どうなるのかねぇ。
◆今更ですけど、勝手に引き取っちゃっていいのか、金魚。
◆来週は一之瀬くんの回。またか。永嶋くんの影が薄くならないことを祈ります。
その一之瀬くん、地味に頭髪ヤバくないですか(@公式の予告動画)
立原さんの物真似似てないな……と思ったら最後の怒鳴り声だけ似てた。思わず声出して笑っちゃったじゃないか!
一之瀬くんtwitterはフォローしてますよ。意外に小ネタ挟んでて面白い。オススメです。
で、次回予告でまた立原さんがガチギレしてた件。
いくら禁煙中とはいえ、血圧高いなぁ。そのうち、血管切れて倒れるんじゃなかろうか。カルシウムとビタミン摂っとけ。
◆今回の『同窓会』のCMの吹越さんは、ヤンデレみたいになってました。本当に面白いな、あの人。
その上、なんか殺傷沙汰起こってませんでした?
相変わらず、CMから全く内容の読めなさそうなカオスっぽいドラマだなぁ……2chじゃネタドラマ扱いされてて笑った。見ればよかったかなぁ。見ないけど。
なんか、1番前期の雰囲気に近い話だったなぁって思ったのは私だけでしょうか。どこがどう、とは上手く言えないけど。唯一前期にドラマ化されなかった原作回だからなのかな。
個人的には、この回は橋本監督の演出で見たかったです。こう……映像としてのエグさも増しそうだな的な意味で。前回の血糊どばーっとか、ああいうノリで……
ごめん、やっぱりいいです。遠慮しときます。
小坂さんの回ということもあってか、松下さんがすっごい張り切って演技してたなぁ……小坂さんは鬱陶しいけど、やっぱ上手いわ、この人。
原作回の中でも、『声』は割と上手くドラマ化された方じゃないかと思います。原作のノリをあのままドラマ化はさすがにできんだろうし(むしろよくほぼあのままのルートでドラマ化できたなと、それだけでも評価したい気分)、できうる限りであのエグさを再現したらこうなった、って感じかなぁ。これはこれで、まぁ綺麗にオチてるかなと。
今のところ、今期で1番マトモに見られました。次週以降にも期待。
ちなみに、「エグい」と評判の原作でのこのお話はどういうお話かといえば。大体はドラマと一緒なのですが、当然ながら細部が違ったりしています。
以下反転
【細かい変更点】
・被害者の梨緒は司法習生。
・ちゃんとファックスなどの出所も調べようとしている
・彼女の自殺については、1日で解決している。
【大きな変更点】
・大きく分けて、被害者の梨緒の視点と、上司である男2人からの視点が混じった三部構成。
・被害者は3度、性的暴行を受けている。1度目は父親。2度目は叔父から。3度目は短大時代、一目惚れした講師から。
・容疑者になった2人の男は、検事と検察事務官で彼女の上司。そいつらは2人とも、梨緒への好意を暴走させ、なんとか彼女の心の傷に付け込み振り向かせようと、それぞれえげつないセカンドレイプに走る。
・それらが原因で、一見男性を憎んではいたものの、内心は女(=己)を憎んでしまう屈折した感情をはっきりと自覚してしまい、自殺する。
・現場の偽装は自分への偽装(形だけでも男を憎んでいたかった)。
・倉石は、彼女の自殺の動機までは拾えなかった(拾いようがなかった)。
・ラストは彼女の過去。
自らを性的な対象として見る父親、そんな自分へ憎しみを向ける母親。母親は、ついに自分ごと父親を殺してしまった。
死んだ両親の死に内心喜んでしまう幼い頃の彼女の姿と、そんな彼女の中に響く自らの声。
「死ね。お前なんて消えてなくなれ!」
まぁ……このままドラマ化は無理だよなぁ。