CASE.6 骨董品殺人! 京都~東京、不在証明の罠
ゲスト:竜雷太 いとうあいこ
脚本:櫻井武晴
監督:辻野正人
ひとりの“職人”の意地というかプライドのお話。今期科捜研では1番面白いなと思った話です。
◆被害者は骨董品収集家の藤木さん。
私には骨董品に限らず、何かを集めるって趣味がよくわからんわぁ……何か、そういうこと言うと、自分が心の寂しい人間みたいだけど。
◆初っ端から怪しさ満載の雷竜太、もとい古美術商の鳴澤さん。
現場にあった「各山」の器を見て、「それが無事だったのが、唯一の救いだ」とか言ったり。
土門さんは鳴澤を疑うが、彼には死亡推定時刻、東京にいたという鉄壁のアリバイが……
◆今回の風丘先生は、本当に影が薄かったです。出たの、解剖シーンだけだし、その結果もマリコさんの見立て通りだし。ぶっちゃけ、出ても出なくても変わらなかったんじゃあ……
◆被害者の服に付着していた匂い→シソとウコン
凶器は、現場で割れていた花瓶に間違いない。
被害者の爪からは、牛の骨の成分が発見される。
そして現場で割れていたもうひとつの各山の器には、釉薬の下に作者の指紋があり……
◆料理や食材の知識に関してはズバ抜けている日野さん。
スーパー日野さん(ただし、料理と文書・筆跡関係)。実はマリコさん・所長に次ぐスーパーキャラだよなぁ。
◆凶器の花瓶は300万の代物……へぇ……
でも犯人の自供シーンで、悪趣味と一蹴されていましたが。
◆客と取引中の鳴澤を待つ間、隣のお茶屋でティータイムの2人がほぼ同じポーズしてて萌えたよゴメン。
そこで、鳴澤を疑う土門・考えすぎだと言うマリコ。
久しぶりに意見が対立してました。初期に比べたら緩いけどね。
信頼関係あってこそ、お互いを認めた対立って感じでちきしょう本当にごちそうさまですって感じでしたハイ。
◆古美術商という名の職人、鳴澤に圧倒されるマリコさん。
「仕事に何より誇りを持つ者」という点で、自分との共通点、ある種の共感を抱いていたのだろうか。
しかし、そんな鳴澤の厳しさなんかを、「俺にはよくわからん世界だ」と一蹴する土門さん。
ここらへんのスタンスの違いも、また魅力のひとつですよさすが櫻井さんわかってるようわぁぁぁぁ(落ち着け)
◆現場で割れていた器は各山ではなく、阿南各山という作品であることが判明。
日本骨董教会で阿南各山は、贋作と認定されていた……しかも、被害者が阿南各山を購入した、翌日に。
土門は、そこに今回の事件の動機があるのでは、と睨むが……
◆たった一晩で、40万円の大損をする世界、か……怖い世界だなぁ、骨董品って。
それを許し、「次回に繋げろ」というような台詞を言える鳴澤は、確かにマリコさんの言う通り、いい師匠なんだな。
◆しかし、それでもそんないい師匠を疑うのが土門さんのお仕事。
そんな土門さんに「トコトン、付き合いましょう」と着いていくマリコさん。
ちきしょう、本当に櫻井は“ツボ”ってヤツを心得てやがるぜ。大好きだ!
◆東京銀座の美術館にて。
刀の手入れの手順なんかは、櫻井脚本ならではの描写だなぁ。
その美術館で、鳴澤のアリバイは崩れなかったものの、被害者の爪に付着していた牛の骨の成分の正体が、鳴澤が刀の手入れに使う打ち粉であることがわかる。
◆土門「“曲がったことが嫌いな頑固者”」
マリコ「ちょっと、誰のこと?」
鳴澤の評判のことなんだけど、これはマリコさんにも引っ掛けてるのよね? だから土門さん、ニヤってしてんのよね?
萌え視点過ぎますかそうですか。
それはさておき、そんな鳴澤が贋作を売ったと、周囲に知られたら……それが動機なのでは、と睨む土門さん。
◆問題は、鳴澤のアリバイをどうやって崩すか。
職人モノ、アリバイ崩し、電気使用量を調べる、なんてところで同じ櫻井脚本、新1の3話を思い出した。
まぁ、種は全然違ったワケだが。
◆マリコ「彼は死亡推定時刻を早めようとしたんじゃない。遅らせようとしたのよ」
骨董品を包むターメリックの布で、遺体を包む。その布の防腐効果に期待して、腐らせないために。
しかし当然、それで遺体の腐敗を遅らせることはできない。逆に体温の低下が妨げられ、腐敗が早まり、死亡推定時刻が早められた。
結果、彼に鉄壁のアリバイが生まれて結果オーライ、という話でした。
◆鳴澤は、各山より阿南各山の方が芸術的価値が高いと思っていた。
そして阿南各山を買った藤木は、鳴澤の目利きを信頼して買ったくれたのだと。
しかし、藤木は学会の発表を受け、激昂。阿南各山のひとつを鳴澤の前で叩き割ってしまう。
結果、鳴澤はもうひとつの阿南各山を守るため、傍にあった泡沫で藤木を殺害してしまった。
「贋作が真作に劣ると、誰が決めたんです」
「本物だから価値があるなんて、誰が言ったんですか」
「私は私の目しか信じない」
殺人犯なのにカッコいい。雷竜太の威厳と存在感はさすが。
お涙頂戴路線に走らず、ひとりの職人の意地を貫き通したのもまた好印象。すぐにお涙頂戴路線に走るのはどうかと思うのよ、たまにならいいけど。今期はそのお涙頂戴が多すぎた印象なので、余計にそこがよかった。
◆これだけで終わらないのが科捜研。
釉薬の下にあった指紋を照合し、判明した事実。
各山と阿南各山は同一作者による物、つまりは本物。鳴澤の目利きは確かだった、ということ。学会の発表はまるっきり覆されてしまったわけです。
もっとこれが、早くわかっていれば……という後味の悪さ。これにより、阿南各山を引き取りたいと願う弟子の思いは難航しそうですが……これはこれで、爽やかに終わってるからいいか。
◆「美術品が壊されるくらいなら、人を殺した方がマシだなんて、俺には理解できない」
最後に見せた土門さんの厳しさに、DVDインタビューでの内藤さんの言葉を思い出した。
確かに、被害者や加害者への情は、実はマリコさんの方が深いよね。土門さんは案外そこらへんドライというか、加害者には徹底して厳しい。
そういうのも含めて、こういうマリコ・土門のスタンスの違いとか名コンビっぷりを、もっと見たいんだけどなぁ……