CASE.4 時間差殺人
ゲスト:篠田麻里子、須田邦裕、金子昇
脚本:大川俊道
監督:長谷川康
色々な意味で、「あれコレって『9係』……?」となる今回でした。
たまにはこういうのがあってもいいかな、と思える部分もあるんだけど、正直オチが……
ということで、今回の感想へ!
◆話の冒頭が9係の皆さんによる死体発見・現場検証じゃない話って、最近だといつが最後でしたっけ。
私が『9係』に疎いということを差し引いても、パッと浮かばないぐらいには最近あまりないパターン、のような。
あとついでに、銃殺っていうのも『9係』では珍しい気がする。ケーキだのコロッケだのくまいるちゃんだの絵の具べちゃーだの、死体や現場の状況はエキセントリックなことが多々ある『9係』ですが、殺し方そのものは割と王道(?)というか、スタンダードというか。いやまあ、『9係』で殺し方がエキセントリックな話やられてもな、とは思うんですが。
……これはこの話に限らないけど、こうやって「だったような気がする」「だと思う」だけで物事を書くのはよくないな。でもこういう長期シリーズだと、調べるの大変だから……許してクレメンス。
◆青柳さんの熱い「殺し屋」説推し。後に村瀬さん・矢沢さんにハモって笑われてましたけど、なに、青ちゃんってば意外に厨二病なの? むしろそういう厨二病妄想こそを鼻で笑うのが青ちゃんだと思ってました。意外にヤングなハートを保ち続ける男・青柳さん。
被害者の妻・美咲さんがよろけたとき、サッと受け止められた矢沢さんこそ『9係』ワールド一のイケメン。『9係』レギュラーの中で唯一、きちんと家庭を保てている辺りから知ってはいたけど、やっぱり矢沢さんはイケメン。そしてそれが事件解決の決め手にもなったんだから有能。現実でモテるのはこういうタイプ。
◆歯医者に行くのを勧められてた情報屋っぽい「タコ」さんは「タコサワ」さんと仰るようだが、字幕でも「タコサワ」とカタカナになっていたので漢字わからず。どう書くんだよ……
◆「ああ、そういや早瀬川先生にも助手っていたんだよな」と思った今回の遺体解剖結果報告シーン。遺体解剖のときにはいるけど、いつも早瀬川先生しか喋ってくれないからなぁ。台詞すら無いモブ。
◆「泥棒が入ったらどうすんだ」って言いながら当然の権利のように不法侵入をする青柳さん。それを止める矢沢さん。そして土橋さんに見つかったら、その原因を矢沢さんになすりつける青柳さん。きちんと土橋さんに謝る矢沢さん。
なんつーか、普通の泥棒(というと語弊があるが)だったらまだ「明らかな違法行為」として咎められるけど、下手に権力と権限を持ってる警察官が同じことやると、意味合いが全く違って見えるから不思議だ。
青柳「アンタが殺したんでしょ?」
矢沢「いきなり!?」
青柳「え」
矢沢「即!?」
青柳「……ちょっと早かったか?」
そういう問題でもない。
◆土橋さんを取り調べしてるとき、矢沢さんが明らかに「顧客リスト」という単語を噛みかけた。たまによくあること。
浅輪さん→矢沢さん→青柳さんへの耳打ちは、ただの伝言ゲームだな。遊んでるな。
◆村瀬さんに自分の言動を否定されて、拳銃型ライターを乱射する青ちゃん。危ないからやめなさいw
小宮山主任が「泳がせて証拠つかもうぜ」って有能なこと言ってる陰で、「行こうぜ」なんて言ってワルガキのようにこっそり抜けだそうとする青ちゃんステキ。でも小宮山主任にはバレてた。
小宮山「まずはトップバッター、よろしくね」
ああ、この小宮山さんには勝てませんわ。先週、通販番組に振り回されてキャーキャー言ってた人とは別人のようだな。
◆だから、その熱い「殺し屋犯行説」推しはなんなのよ、青ちゃんw
青柳さんとタコサワさんの電話を邪魔する矢沢さん、なんて珍しいものが。
矢沢「歯医者行けー。ちゃんと歯治せー」
全然事件と関係ないガヤ。むしろ青柳さんがやりそうな悪戯。矢沢さんもなんだかんだで青ちゃんに毒されてますね(好きです)。
◆そもそも足(しかも膝)を撃たれてるんだから、立ってるのだって辛いはずなので拳銃持ったヤツと揉み合うなんて芸当ができるかも疑問だし、足跡どころか目に見える血痕が現場に多数落ちてたって不思議じゃないよね。まあ、実際は揉み合ってすらいないんだけど。
正直、係長がハンカチで叩いた程度で見つける跳弾の痕跡すら見逃す『9係』ワールドの鑑識さんたちなので、血痕はまだしも足跡なんて普通に見逃される可能性が、とか思ってしまう。
「基本的に『9係』ワールドの鑑識は、伝説の猪狩さん以外は無能」説をここに唱えておく。ごくまれによくあること。
◆跳ねる弾と書いて跳弾。ドヤ顔で解説する浅輪さんに「……知ってるけど」な小宮山主任。「……ですよね」(by浅輪さん) そうですよね、刑事だもんねぇ。
ここでの小宮山さんが、珍しくデニムパンツを穿いている。スカートがメインでスラックスとかパンツ自体も珍しい気がするが、デニム穿いてるのはなんか見覚えがない。今まであったっけ? いや、目についたので。
◆物音がした不審な場所へ、「行くわよ」と臆することなく判断できる小宮山主任と、慎重なのか臆病なのか「……ああ」「押すなよ!」と言う村瀬さん。どうしてこうなった。らしいと言えばらしいけど。しかも村瀬さん、物音にビビりすぎ。
◆で、その不審な店に青柳さんと矢沢さんが揃って居た、となると、その間、現時点での有力容疑者であり自身も疑っているはずの土橋さんはノーマーク、ということになるのだが、それでいいのだろうか。いくら青ちゃんが単独で手柄上げたがりだ、とか、情報屋のタコサワさんから有力な情報を貰ってた、とかっつーても、それでいいのか。手柄上げたがるいつもの悪癖を突くより、むしろそこが気になったんだけど。
薄闇の中の矢沢(懐中電灯)ライト係。照らしだされる青ちゃんの顔、なんか怖いな。
小宮山「……まぶしいから!」
青柳「まぶしいっつってんだよ!」
◆詐欺罪の時効じゃねーかも! キリヤマ立件できるかも! ってなって盛り上がるのはわかるんだけど、「おっ!」「おうっ!」で盛り上げてんのはなんなんだw まあ、いつも通りの青柳さんと矢沢さんなんだけど。
興奮しすぎて机を拳で叩いてちょっと台詞が半笑いになってる矢沢さん。なんか今回、真面目なフリして矢沢さんが一番笑いに走ってた気がする。青ちゃんより笑いに走ってた気がする。事件解決の決め手も握ってたし、なんだ今回は密かな矢沢さん回だったんか?
◆親しい人が事件に巻き込まれたとき。あなたなら、そのとき着ていた服、どうする?
っていう問いへのそれぞれのスタンスに、「男性はロマンチスト、女性はリアリスト」なんていうテンプレの片鱗を見た気がします。
倫子「思い出とかね、ぐずぐず言うのは男ばっかり! 過去に拘るのは男の嫌な癖。女はね、思い出なんて気にしてたら生きていけないのよ!」
でもこういう場合、「服」は「思い出」というよりは「忌まわしい思い出」とか表現した方が合ってると思うけどな。そう表現したら、浅輪さんもわりかしすんなり納得したんではないかと思う。
どうでもいいけど、浅輪さんが具体的に東京のどこ住まいなのかは知りませんが(たぶんそれなりに高級な住宅街な気はするが)、わざわざ築地まで行って夕飯ネタ仕入れてくるって、倫子ちゃんが着実に父親の血を開花させている……お料理係長、今年はまだないもんなぁ。
◆これは『9係』に限らないけど、1時間の話の現在軸で複数死者が出るのは珍しい。
薬莢を見て種類がわかる青柳さん。そういやこの人も刑事だった……(酷)
◆小宮山「タコでもイカでもいいから、早くいくところあるでしょ?」
なんか今回の小宮山主任は強いな。単純に勝てなさそう。
◆いくら普段の力関係がDVで保たれていて、銃で撃たれて混乱しているとはいえ、自分に銃を向けている相手によく「てめぇ……殺すぞ!」なんて言えるよな。
で、いくら相手が自分より弱そうな女性だからと言って、よく弾が入ったままの拳銃を巡って揉み合う気になれるよな。
これは本当にフィクションに対しての禁句だと思うんですが、なんでこういう刑事・サスペンスドラマ系のクズ系被害者っていうのは大体生き急いでるんだろう。もっといのちだいじにいこうぜ。
◆今まで私は「発射残渣」のことを「はっしゃざんさ」って読んでたんだけど、係長は「はんしゃざんし」って読んでた。でもGoogle日本語入力だと、「はっしゃざんさ」では「発射残渣」って出るけど、「はっしゃざんし」だと出ない。
……どちらが正しいんだろう。
それはどうでもいいけど、矢沢さんがとっさに美咲さんを受け止めたことで事件解決の決め手に……ということは、「矢沢さんは有能なイケメン」という私の支持説が正しかったことがここに証明された。もう一度言うけど、現実で一番モテるのは、9係の中では矢沢さんタイプです。
◆私が見落としてるだけかもしれませんが、面通しのときの美咲さんの証言がデタラメだっていう根拠、なんかあったっけ? いや確かに様子はおかしかったけど。それに「後で」気づいたって係長は言ってましたけど、どこで気づいたんだろう。私にはわからなかった……
美咲さんが最後に見せた涙は、過去の生き方も美咲さんへのDVも間違ってたとはいえ、曲がりなりにも、一旦は、一応は美咲さんを好きになって熱心に求婚してくれて、一緒に夫婦生活を歩んできたことは事実、という意味の涙なのかしら。
◆わざわざ築地まで出向いて、大トロ仕入れて溶岩焼きまで作る倫子ちゃん……あの家のエンゲル係数はどうなってんだ……浅輪の稼ぎだけでやっていけてるのか……? あんな綺麗な家住んでるし……前回も、なんか手の込んだ料理作ってたしなぁ。
9係の面々が普通に有能に見えた回。ちゃんと専門用語とかところどころ使ってる。
いや、確かに皆さんは有能であるという設定ですが、語弊を恐れずに言えばいつもは「なんでコイツらが『検挙率ナンバーワン』なんだよ!」みたいな感じなのに。まさしくそれがシーズンのキャッチコピーになったときだってあるぐらいなのに。
それぐらい、いつもはキャラの掛け合いが多いわけですが、今回は掛け合い少なめ、いつもと「事件の情報量」と「キャラの掛け合い」の割合が逆転していた感じですね。いつもより謎解き部分とか、事件や状況、用語の説明台詞とか多かったもんなぁ。
その割には、特に被害者や美咲さんの行動原理や感情の描き込みが足らなかったのは気になる。別にベッタベタな人情ドラマを描け、とか、これ以上説明を増やせ、とかではないんだけど、なんかこう……ふわふわしてたよね。しかも「わからなくはない、想像できなくはないけど、納得できるかは別」みたいな、絶妙にアレなラインなので違和感の正体の説明に困る。
なんだろう、個人的にはシリーズの方向性が事件中心になった、season4辺りを思い出したのですが。係長が実質単独プレイ気味なのも割とそんな感じ。season4の方針を更に煮詰めたら今回、みたいな。……なんか上手く表現できない。
明確な不満点としましては、ラストの浅輪さんと倫子ちゃんのやり取りでしょうか。
倫子「すごくないと思う。刑事としてはすごいのかもしれないよ。でも……人としてはどうなのかな?」
浅輪「ええっ? 倫子ちゃん、それは厳しすぎだよー! だってさ、それとこれとは話が違うんだから」
倫子「違わない。あの人を、反面教師にしてもらわなきゃ」
浅輪「……反面教師?」
倫子「刑事だからって、家庭をおろそかにする人間にはなってほしくないの……いい?」
浅輪「……う、うん」
初めて「本筋の事件」と「倫子ちゃんの結婚への願望」ネタがきちんと絡んで話のオチになったのはいいと思う。ああ、これはサブストーリーではなく今期のメインなんだな、と思うから。
でも、言ってることがなぁ……だって前のシーンでは「思い出とかね、ぐずぐず言うのは男ばっかり! 過去に拘るのは男の嫌な癖。女はね、思い出なんて気にしてたら生きていけないのよ!」って言ってたのは倫子ちゃん自身なのに、一番思い出、というより過去にとらわれてるのは倫子ちゃんの方なんだもの。
それに大体、倫子ちゃんは完全とは言えないけど係長とは和解したんじゃないのか。以前のシーズンでは味覚障害のことを、きちんと一対一で打ち明けたりしてたじゃないか。現時点での係長と倫子ちゃんの間にある「距離」は、係長側が遠慮してるからできてたのかと思ってた。
いくら「家庭のことに関する過去の確執」があってそれはなかったことにはできないとはいえ、相手の事情もある程度は理解して、許すことが出来たからこその今までのシーズンでの倫子ちゃん、と思ってただけに、なんか今期の倫子ちゃんは結婚に焦ってるとはいえ成長どころか逆に精神的に退化してるっぽくてなんだかなぁ。最後のシーンなんて、まるっきり「自分の中にある父親」に反抗したいだけの女子中学生みたいな言い分なんだもの。
それを薄々感じ取ってる風の浅輪さんが、更に倫子ちゃんのキャラブレを痛々しいものに見せている。こう描くということは「わざとやってますよ」宣言なのかもしれんが、それにしたってこんな形で倫子ちゃんの言動に引き気味な浅輪さん、なんて私は今更見とうなかった。
今期はところどころそんな箇所が散見されてましたが、下手に事件に絡ませてオチにしちゃった分、倫子ちゃんのキャラブレの振り幅が一番大きかったのが今回、って感じ。味覚障害騒動のときもちらっと思ったけど、物語の都合でこうもキャラにブレが出てしまうと、そのキャラが好きな立場の人間としては悲しいなぁ、と思うんですよ。私なんかはキャラ厨なんで、特に。
倫子ちゃんの描写がもっと違うものなら、もうちょっと話を好意的に見られた気がするんですが、申し訳ないが今回はちょっと。自分でもここまで倫子ちゃん贔屓だとは思ってなかったので、ちょっとビックリしてます。
そんなこんなで次回ぃ!
次回はエキセントリックな死体復活! 今度は死体がヨガのポーズ、ヨガ教室が舞台、サブタイが『殺人ヨガ』って、おうそのダルシムから続くヨガへの熱い風評被害やめーや。そろそろフィクション世界はヨガ業界から一喝されるべき。
伝説の鑑識・猪狩さん再登場! 公式の次回予告で村瀬さんがちらっと「まだ引退してなかったのか……」とか辛辣なこと言ってて草。
猪狩さんと並んで地べた這いつくばって虫眼鏡覗く係長に萌えるべきか、さりげなく後ろでひとりその様子を見ている浅輪さんに「働け!」と言うべきか……
その浅輪さんが早瀬川先生に乗っかられてあやしい反応してるのが……早瀬川先生に「そういう反応、いらない」とか言われてる。
メダルに南十字星にヨガに伝説の鑑識。要素たっぷりだな!
ということで、次回以降も期待! しておりますよっ。