ネタバレなし(少なめ)感想
今作、割と大人向けな気がする。
大人の自分でも驚くぐらいの結構キツい描写、怖い描写があったし、「そりゃ泣くわ!」って感動シーンもある。メッセージ性、目的強めかなぁという印象。近年だと『ロボとーちゃん』『ユメミーワールド』路線かな。
その代わりギャグやコメディも多めで、ぶりぶりざえもんの裏切り者・卑怯者キャラはわかってても笑うw
アクションも豊富で、序盤の追いかけっことか落書きの車での爆走とか、めっちゃ動く! なのにめちゃわかりやすい! ここらへん、ホント毎年の如く思うんだけど劇場版『クレヨンしんちゃん』スタッフはアクション描くの上手すぎでは……
途中はパニックアクションやSF的な趣もあるんだけど、最後にはノリよくハッピーエンドになるのが『クレヨンしんちゃん』。最後まで飽きさせない作りだったと思う。
主題の落書きのアートワーク?っていうのか、動く落書きたち(キャラじゃなくて、実際に提供してもらった落書き)も魅力的だし、ラクガキングダムのデザインも好き。
自分としては「近年の映画だと『ユメミーワールド』最強」と思ってるヤツなんで(それ以外のももちろん好きだけど、好みとして)、それを超えたかと言われると違うんだけど、でも見て損はない、おバカでちょっとほろっとしたりもできる『クレしん』ワールドだったと思います。『B級グルメ』以降は、どれも方向性が違いながらもクオリティ高めの作品多くて嬉しい。
あ、しんちゃんの声は全然気にならなかったです。っていうか、TVアニメで何回か見てるからってのが大きいのかな。めちゃくちゃそっくりでビビるレベル。
ここから先はネタバレありの感想。
OK?
ネタバレ多めの感想
OPからタイトルまでの演出がすごく好き。おしゃれ。
劇場版の中でも、結構被害デカめに見える今作。春日部民が殆ど被害にあってるし、街が結構壊れてるのよね。それに最後はラクガキングダム墜ちかけるし。
ミラクルクレヨンを失くしたあとの民衆の描写とか、物々しい雰囲気なんかは、歴代映画でも1、2を争うんじゃねーかレベルでシリアス。あれ、子どもたちは理解できるのか、或いは怖くないのかな大丈夫かなとか。
今回の敵はラクガキングダムの民、ではなく崩落するラクガキングダム(自然災害に近い)であり、それに立ち向かおうとしない民衆(大人)であり、なのかな。明確な敵がおらず、みんなの手を取り合うことで困難を退けるってのは『ポケットモンスター みんなの物語』でもあった現代ならではの描写だと思う。
その代わりなのか、春日部民ほぼ総出演ぐらいのノリの良さもあった。紅さそり隊とか大工父娘とか、っていうかななこお姉さんも忍ちゃんも結構喋ってたし、劇場版だと声あり出演キャラ最多では? スタッフロールに並んでるクレジットの量、落書き提供も含めてエグかったし。
メインキャラも結構多くて、ラクガキングダム側だけでも姫・宮廷画家・防衛大臣と春日部に侵攻してくるりんごちゃん三姉妹?とかもいるし、人間側でも唐突にオリジナルキャラのユウマくんが出てくる。公式サイトにも存在が描かれてない?ので、メインに合流してきたときはちょっと混乱した。
しかも、それぞれのキャラで結構、思惑も持ってる現在の状況の情報も違ったりするので、視点が煩雑だった印象はある。
もちろんユウマくんにもしんちゃんたちと一緒に旅したり、姫と絡んだり、他にも大事な役割があるんだけど、もっとスムーズに出すことはできなかったのかなぁ……とかは思う。
ななこおねえさんのために頑張るしんちゃんはカッコよかったし可愛かった。頑張る理由はそれだけじゃないけど、ちゃんと最後、ご褒美もあって「よかったねぇ……」ってなる。
終盤、偽ななこから始まりぶりぶりざえもん、ブリーフくんがそれぞれ消えていくのはやっぱり涙腺に来る。4人の珍道中があるから、なおさら。ブリーフくんはツッコミとまとめ役で大忙しだし、偽ななこは漢前かつ真ヒロインだし、ぶりぶりざえもんはギャグ担当で大忙し。あそこらへんの勢いが一番好きかも。
「やっちゃえば~ やっちゃえば~」の歌が好き。あのノリのよさ、勢い、明るさで物々しい雰囲気とかシリアス加減をぶっ飛ばした感じがある。ぶっ飛ばしきれたかはわからないけど、でもアレがあるから『クレしん』だなぁと思える。みんながしんちゃんを信頼して動くところもいいんだ……
自分としては、監督とかが仰ってた「怪作」がたしかに一番しっくり来るかな、って感じです。引っかかる部分もあるんだけど、ラストのノリとかで大体許せる。みたいな感じです。
最後にネタバレでもなんでも無いけど、山田裕貴さん上手いな……最初気づかなかった。
でも、最後の「申し訳ありませんでしたぁ!」は、『特捜9』の新藤くんっぽかったw いやまぁ、私が知ってる山田裕貴さんがそれだけって話なんだけど……