【その男、副署長】第10話 感想

その男、副署長
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Last File 14年ぶりに帰ってきた殺人者は、なぜ自分の指紋がついた婚約指輪を新聞社に送りつけてきたのか?

ゲスト:宅麻伸、筒井巧、金山一彦、竹中里美、でんでん

監督:藤岡浩二郎
脚本:櫻井武晴

いい最終回でした!

今週の話を見て、ものすごくテンションが上がってるんですが、私だけでしょうか。ええもうさすが櫻井脚本ですよ。どうしよう、あまりのクオリティの高さに、興奮しすぎて涙が止まらねぇ!
『相棒』公式ガイドブック1では、櫻井さんはご自分のことを「キャラではなく、事件で話を見せるタイプ」と言っていたけど、それは違うと思う。
事件でも、キャラでも話を見せられる御方です。
うんもう何ていうか、1時間で事件だけじゃなく、今シーズンはおろか3年間のシリーズまとめをやってのけてしまった回。キャラたちの変化や伏線を、丁寧に拾ってくれて本当によかった。
何というかベタ褒めしてますけど、それだけよかったということで。いいものを見せてもらいました。
とりあえずは今回の感想ー。


初回以来の宅麻伸キターーーーーーー!!!!
横浜東署の二ノ宮主任! あ、もういい? しつこいねゴメン。
久しぶりにいきなり登場したかと思えば、捜査員のひとりとして副署長を捜査本部に入れたり、自分の後釜に副署長を推薦したりとものすごい爆弾を落としていった黛さん。
それを立ち聞きした近藤警務課長&佳子ちゃんが、もうすごい嬉しそうで。おまいら、本当に副署長大好きだな。刑事コンビも嬉しそうだったねぇ。
とにもかくにも久々の黛さんですけども、捜査する上でもその威厳やカッコよさが際立ってました。出すところがなかったのかもしれないし中の人の都合もあるんだろうけど、もっと黛さん見たかったなぁ……残念だが仕方ないか。
結局、最後には捜査一課長推薦の話は白紙に戻っちゃうんだけども、その時も「諦めたわけじゃないぞ」と笑ってました。カッコいい。うん、つくづく惜しい。

◆相変わらず可愛げのない女性陣。しかし捜査一課長推薦の話が出た途端、デレまくる。特にはるか。
今までもたまーにそんな描写があったとはいえ、あの朝の憎たらしさから想像もつかないツンデレっぷりを発揮していました。今まで東映公式あらすじでのはるかと劇中のはるかは本当に同一人物なのかと思ってたけど、これならアリ、かもしれない。最後には、ものすごい憎たらしさに戻っちゃいましたけども。
署長も署長で、おそらく初めて副署長に捜査の許可を出したり、禁を破った副署長になんだかんだで寛大な措置を図ったりと、先週並みのデレっぷり。
いつものモブっぽい部下たちにも好かれているようだし、実はモテモテだな、副署長。

◆苅部さんの同僚が実際にもいそうな、いやらしい人間でした。新聞広げて、反応が見たいとか悪趣味にも程があるよ。反応もまさしくデブだし。ただ『犯罪者予備軍』かと言われればどうかと思うけども。
「殺人犯も、俺たちと同じ普通の人間なんだね」って台詞を、一般市民の立場から言わせるためには必要なシーンだったんだろうなぁ。後に出てくる財布を拾った一般市民との対比の意味合いもありそう。

◆禁煙をうたいつつ煙草を奪い取り、それを吸う近藤さん。間接キス……そして再び念押し。洒落たシーンだなぁ。

◆証拠となる財布を捜すため、川攫いをする宮下くん。2話の描写を拾ったのか。確かに平さんの言う通り、彼も変化したんだなぁ。報われなかったけど。

◆島を使い、イチかバチかの賭けに出る副署長。一方水口は、自分宛に送られてきたという新聞記事と指輪の件を記事にしてしまう。
そのせいで、被害者の婚約者や14年前の被害者遺族を傷つけてしまった。禁を破ってしまったという副署長。
財布を届けた男が、もろ怪しいアキバヲタ。でもさっき出てきたデブより綺麗な(見た目も心も)ヲタ系といった感じでしたねぇ。似たような雰囲気だったのは、先に出た苅部の同僚との対比的な意味合いが合ったのかもしれない。

◆本ボシは14年前、苅部の犯行に影響され歪んでしまった模倣犯、新聞記者の水口さんでした。
苅部の仮出所を知った時、ちょうど目の前に婚約指輪を友人に見せる被害者の姿を見て、苅部の犯行当時の気持ちを知りたいという欲求を抑えきれず、今回の凶行に及んだ彼。それでも飽き足らず、自分の犯行をどう思ったか、苅部に聞いてみたくて取材をしてみたり指輪を新聞社に自作自演で送りつけてみたり。
彼が犯人だという決め手も、新聞記事の切り抜き方だったりで記者としての歪んだプライド、欲求が仇となったマジキチ系犯人でした。
その態度にガチギレした副署長に「俺の我慢もここまでだ」と言わせた彼、ぶん殴られて口の中血みどろにされた挙げ句逮捕されてました。
しかもマスコミの前で晒し者にさせられても反省せず、トリップ入っちゃってるのか殴られてタカが外れたのか、手錠をマスコミに見せびらかした上、最後まで苅部に執着して取材を申し込むホンマモンのマジキチ。
なんていうか、『副署長』には珍しいタイプの犯人でしたなぁ。演技が迫力ありすぎて怖かった。役者ってすげぇなぁ、と思わせられましたよ。
そんな14年前の己、水口と出会い過去を悔い、本当の意味での贖罪への道を歩み出した苅部。あの流した涙は、そういう意味だと信じたいですね。

◆『相棒』でも思ったけども、人間の生々しい感情を吐き出させるとでんでんは本当に上手い。
どんな犯罪者も、遺された人の人生全てを奪うことはできない。「亡くなった人は、生きる人の支えになる」のだから。もちろん大切な人を奪われたことは悲しい。辛いし苦しい。けれど、そのときに犯人や、時には警察、司法へ抱いてしまった憎しみを乗り越えて生きていくことも、できるかもしれない。
綺麗事かもしれないけれど、これは初回SPで見せた後味の悪さ、島の書いた記事である「人を憎んだっていい。人を憎みながらでも、生きていくことの方が大切」という言葉への、副署長なりのアンサーなんだと思った。
そうか、この話、色んな意味で対比がメインだったのかも。
水口と苅部。水口と島。被害者の婚約者と、14年前の被害者の遺族。さっきも言ったけど、キモヲタ系一般市民2人。憎しみと希望。
最後に島が記事にしていた通り、憎しみを乗り越えられるかもしれないという希望を感じさせてくれる締めでした。そこまではっきりとした希望でないことが、余計にその明るさを際立たせる。これからどうなるかは、人々がどうしていくか次第なのだということなんでしょうね。

◆事件解決後、日常描写に戻った河原町署。
謹慎明けでカリスマ主夫になって戻ってきた副署長に近藤さんからの温かいお言葉が。
「本日も山積みの決裁書類が、あなたを心から、心から、心からお待ちしています。よろしくどーぞ!」
で、ずらっと並ぶ決済待ちのキャラたち。みんな笑顔(野沢さん除く)だし、おまいら本当に副署長大好きだな。書類を決裁する中、野沢さんにだけに意地悪する副署長がwww
そして、最後に来たよおなじみお約束描写。

「トイレはきれいに使いましょー」
→上着に気づく
「もう止められません、『その男、副署長』ぉー!」

前々から思っていたんだけど、近藤さんの台詞はどこまで台本に書いてあるんだろう。アドリブもあるだろうなぁ、これ。中の人がノリノリなのがよーくわかる。いやぁ、聞けてよかった。最後だし。
しかし副署長続けます宣言した直後に脱走って、いいのかいなw ま、いいのか。うん。

初回SPからの伏線を綺麗に回収し、キャラたちの変化も心情もお約束描写込みでしっかり描いてくれた今回。期待はしていたけども、ここまで綺麗に纏めてくれるとは思いませんでした。さすがです、本当に。
1時間通常枠だったのでやや駆け足気味でしたけども、ぎゅっと中身が濃縮された濃い最終回でした。うん、満腹。大満足です!
今期でいきなり内容的確変を見せてくれたこのシリーズ、見えていた結論とはいえ副署長を続けるとのことでシリーズ存続の可能性を僅かに残してはいるものの、ここまで綺麗に終わられると、ここで円満に終わっておくのが1番な気がします。
色々語りたいこともありますが、それは後で書くまとめにでも譲ることにしましょう。

ということで、『副署長』、3年間ありがとう!


で、今回のロング版予告でも、『853』初回の内容がよくわからなかった件について。アクションばっかりだったし。
どんな話になるのか、キャラたちとの関係性も気になりますねぇ。こちらも期待。脚本が櫻井・岩下コンビだし。

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