EPISODE.9 女たちの最終決戦
ゲスト:松下由樹、渋谷謙人、瀬戸さおり、田村健太郎、半田周平
脚本:戸田山雅司
監督:兼﨑涼介
あらすじ
最先端半導体の研究員・保岡一隆が撲殺された。凶器にはニッケル合金が付着していたほか、胃の中にはクッキーが…。やがて、事件直前に篠宮小菊刑事(松下由樹)が、自転車置き場で保岡に接触していたと判明!死の直前、保岡は自転車置き場で何をしようとしていたのか…!?その矢先、保岡が情報流出の首謀者で、産業スパイだとする書き込みがSNSに氾濫!その情報は、どんどん拡散されていき…!?クッキーに眠る、驚愕の真相とは…!?
見どころ
◆PCが5台体制!?
防犯カメラ映像解析。ノートPCも含めて5台、だと思う。見える限りでは。
いや、この京都の街にはそれぐらい防犯カメラがあって然るべきと思うんだけど、それにしてもすごいことやってるわね亜美ちゃん。足元にもノートPC置いて、これでフル稼働なのかそうじゃないのか気になるところ。
◆加瀬くん、もしかして研究室に入っちゃダメなのか?
今までの描写的にも、今回だってそうだし、そんなことないと思うんだけど。
なんか共有スペースから覗いてるシーンが印象的だからなのかな。そう思っちゃった。確かに、未だに素手で証拠品触ろうとするしな……
◆篠宮刑事のBGM
これ、元々は藤倉刑事部長のBGMだったんだけど、存在感ある人(オブラート表現)を出す時に使いやすいよね。重厚感たっぷりで。
日野 「篠宮小菊巡査部長。捜査三課で盗犯一筋……優秀な刑事なんだけど……」
蒲原 「性格は、かなりキツめ。かなりおっかない人」
2回目の「かなり」に力込めてる蒲原刑事に笑うんだけど、これは「優秀な刑事」で紹介を留めないで、蒲原刑事を見やった日野所長も結構だなこれ。微妙そうな表情といい、だからお前、篠宮刑事にアレな評価されるんだよ。もっと頑張れ。
◆篠宮「君嶋! また私の仕事、邪魔しに来たわけ?」
君嶋 「そんな……人を疫病神みたいに言わないでくださいよ」
きーーみーーじーーまーー!!!!!(違うよ)
呼び捨てにされてますけど。「また」って言われてますけど。
なんか君嶋さん、前期の篠宮刑事回を受けて、篠宮刑事と一応気心知れてるかもしれないようなコミュニケーションを取っていたように見えたが、これは君嶋さん側の遠慮がなくなってるだけなような気もする。君嶋さん、意外とグイグイコミュニケーション図る人(ほぼ公式設定)だからな……
挙げ句、
篠宮 「疫病神が、親玉まで連れてきた」
そして殺人事件の捜査に協力させられる。
今回に限らず、篠宮刑事も準レギュラーゲストキャラの割に結構振り回されたり無茶振られたりしてるんだけど、篠宮刑事側も結構言い返したり口が悪かったりなので、なんだかんだでそんなに可哀想感がない。逆に言えば、篠宮刑事のキツいキャラをマリコさんと君嶋さんが中和している。ヘイト管理が上手い。
篠宮 「ちょっと! ここまで付き合わせてなんなのよ! ああ、もう……科捜研には金輪際、協力なんかしないから!」
松下由樹の安定感たるや。篠宮刑事でより好きになった感ある。ファイナルでは見られないのマジで残念。オールスターということで出てほしかったぜ。
◆特定厨
この単語を発したのが亜美ちゃんじゃない。つまり、「特定厨」はもはやオタク用語ではない。もっと広い、ネット用語になったんだな。いや、元からそうなのかもしれないけど。
個人情報の晒しはダメ・ゼッタイ。それは私刑にしかならず、私刑を一度許すと社会の混乱を招く結果にしかならん派です。「個人情報晒しで事態が動いた!」ってのは、批判の対象にこそすれ、称賛すべきではないと思います。最近のネットを見ていると思う。
◆見慣れない3Dプリンターに目を輝かせる君嶋さん
あざといイケメンポジションを狙おうとしている。あざとい。
◆虹野「これは、なんですか?」
虹野 「科捜研……?」
この京都で科捜研を知らないのはモグリだろ。
ビッケのブランカさん。または主題歌の人。主題歌の歌詞+警備員だから「虹野 守」さん。オシャレ。
S24主題歌、いいですよね。久々の男性歌手ってこともあって、印象的。
なんだかんだで『科捜研』主題歌で「これはちょっと合わないな」ってなる主題歌はなかったと思う。私個人はS15前半の主題歌が苦手ですが、それは個人的な好き嫌い(作曲の人が嫌い)なので。
色んな曲調の主題歌があったと思いますが、上手いこと合ってたなーというか。まぁ、氷室京介あたりは当時の時代やノリで誤魔化されてる気もするんだけど、御愛嬌ということで。
◆篠宮「人の不幸にたかるハエみたいな連中よ。見てよこれ。腹が立つ」
被害者宅がバカ共に突撃されてたところ、女性の篠宮刑事だけじゃ止めきれなくて、強面の土門さん・蒲原刑事が来てようやくバカ共が渋々引き下がっていったの、嫌なリアリティがあった……
アレはしょっぴいていいヤツだと思う。遠慮しないでいい。そこにリソース割いてる場合じゃないのはそう。そこから、篠宮刑事が心を痛めているのを見て、こちらも心が痛くなるのだよな……
今回の被害者の奥さんは、旦那さんのご遺体を見つけちゃうわ、家に突撃もされちゃうわで、本当に可哀想でしかない。こういう人を救えるかもしれない、と示せただけでも、今回のマリコさんたちの科学はとてもすごいことをしたんだと、私はそう思います。
◆盗犯の刑事は目が命、科捜研も目が命
ふたりとも、別にその職業だから目が良い(記憶力が良い)のではなく、仕事へのプライドが強いからそうなんだろうな。仕事は人によって生き方になる。生き方がその人の姿勢を左右する。前回の話の続きじゃん! ここはコンセンサス取れてますな!(自分の中の流行りネタ)
篠宮 「よかったらこのクッキー、全部いただけませんか?」
君嶋 「食べるんですか?」
篠宮 「違うわよ。調べるの、あんたたちが」
マリコ「えっ?」
篠宮 「あんたら科捜研は、証拠が全てなんでしょ? このクッキー、事件の鍵を握ってるかもしれないんだから」
君嶋 「そう言われても……」
マリコさんも君嶋さんも、言われるまでクッキーを調べることにピンと来てなさそうなのに笑う。君嶋さんなんてニッコニコで「食べるんですか?」だもんな。んなワケねーだろ。
篠宮刑事が、「お前ら、生き方(仕事へのプライド)見せてみろや!」してくるシーン、と言えばわかりやすいんだろうか。そして最後にはきちんとそれをも立証してみせるのだから、やはりマリコさんたちはプライドを持った職人集団、ということになるね。
◆なんで取調室に机がないの?
ソーシャルディスタンスの時代は終わったと思ってたけど、そういうことでもなさそうだ。
◆風丘「今時のスイーツはね、美味しいだけじゃダメ! 付加価値がないと!」
その主な付加価値が「バズる」とかなんでしょうけど、そういう考え方ってちょっと悲しい。スイーツなんて、「美味しければ良い」の代表じゃないのか……スイーツにありがちな「綺麗」とか「可愛い」とかも、付加価値といえばそうなんだけど。
それはどうでもよくて、亜美ちゃんと加瀬くんがふたりで自撮りの真似っ子してるので、加瀬くんはギルティ。ギルティです! 許しませんよ! 亜美ちゃんの隣!!!!!
◆情報を食ってる
ラーメンハゲの言った意味じゃなくて、本当に情報(が印字されたクッキー)を食いかねないヤツ。
まぁ、前者の意味では、私も情報を食ってます。特に脚本家さんの名前でめちゃくちゃ味変して感じてしまうタチです。良くないですね。情報を吐き出して料理だけを食べたいね。もう治らん不治の病だとは思うけど。なので最近は、情報込みの味こそ私の感じた味!と開き直ってます。何の話ですかさっきから。
◆サントラ出してくれ!
最後にサントラぐらいは出して終わってくれ。『特捜9』も出してたので、サントラぐらいは希望あると思いたいんだけどねぇ……
この大量クッキー鑑定中のBGM、前からずっとカッコいいと言ってるが、何回聞いてもカッコいい。
やはり川井憲次サウンド、最高なんじゃ~~~~~
◆君嶋「どうしてです? この前は、協力しないって言ってたのに」
君嶋 「そもそも、篠宮刑事は盗犯専門ですよね?」
篠宮 「関係ない。このヤマは、ひとりの人間として、カタをつけないと気が済まないの」
ここで篠宮刑事に共感を示すのはマリコさん、というのが、「アンタ、本当に同性たらしだな!」って意地の悪い感想と、「さすがマリコさん、さすが職人(プロ)」という感想、心がふたつある。
マリコ「私は篠宮さんの気持ち、わかる気がします。この前、おっしゃってましたよね。『盗られたものを取り返して持ち主に返す、それが盗犯の仕事だ』って。盗犯が扱うのは、様々なものが盗られる事件ですよね。金銭や高価な品物から、安くてもその人にとって大事な品物、あるいは今回のような機密情報まで……ですが、この世には、一度取られたら、二度と取り戻せないものがあります。それは、人の命」
篠宮 「それだけは、私ら警察がどんだけ頑張っても、持ち主に返すことはできないからね……」
被害者が殺されたことに責任を感じている篠宮刑事が、それに対して言い訳をしない篠宮刑事が、推せるなぁ……と場違いな感想を。でも、推せるんだよな。こういう真面目な職人キャラ大好きです。なのでファイナルにも出てほしかった……(二度目)
それでも、マリコさんは最後の可能性を、すくい上げられる最後の希望を信じて、こう言うのです。
マリコ「だとしても、最後にまだひとつだけ、取り戻せるものはあります。保岡さんの名誉です。奥さんのためにも、真相を明らかにして必ず取り戻す。篠宮さんなら、それができるはずです」
それを受けて、デレて視聴者にだけ笑みを見せてくれる篠宮刑事が、推せるんだよなぁ~~~! 松下由樹サイコーやで。
◆日野「邪魔です」
なんすか! 加瀬くんはかわいこぶっても可愛くないからダメなんすか!(酷い) その直前のマリコさんには何も言わなかったのに!
そんな扱いを受けても、何も言わず邪魔せず引いていく加瀬くんの健気さに泣けてきた。
◆マリコ「土門さんが引っかかった以上、調べる価値はあるわ」
唐突に土門さんとの繋がりを見せていくぅ! 今回に限らないけど、マリコさんて土門さん相手のデレは、ごく限られた回以外は本人に見せないんだよな。土門さんはあんなにマリコさんにデレてくれるのに。本人に見せないからこそいいんだろって? そうかもね。
◆石片が砕けるほどの勢いって何よ!?
そんな勢いで殴られた被害者が、ただただ不憫で……
◆篠宮刑事の矜持、遺された人の強さ
篠宮 「申し訳ありません。亡くなる直前、自転車置き場で、私はご主人に声をかけました。あの時、その場を離れず、もう少し一緒にいたら、ご主人は命を奪われずに済んだかもしれません……取り返しのつかないことを……申し訳ありません!」
実梨 「……顔を上げてください」
「時間はかかるかもしれませんが、夫の名誉は、必ず取り戻すことが出来る。私はそう信じてます。それも全て、刑事さんたちのおかげです。ありがとうございました」
被害者の奥さん、実梨さんに頭を下げてこれを言える篠宮刑事が、好き……
そして、気丈に振る舞い、こう言ってくれる実梨さんは強い人だと思う。
君嶋 「悲しみは、簡単には癒えないかもしれませんけど……でも、真実がわかるか、わからないかじゃ、大きな違いですよね」
マリコ「保岡さんは間違ったことはしていなかった。そのことだけでも、心の支えになると良いんだけど」
◆君嶋、お前……
君嶋 「さてと! せっかくだから、本部に戻る前に、ランチしていきませんか? 確かこの近くに、おいしいハンバーグ屋さん、あったはず……」
篠宮 「冗談じゃない! これ以上、あんたたち科捜研とつるむ気はないから。……あっ。次はないからね!」
「疫病神とその親玉」とか呼ばれてるのに、ランチに誘えるその肝っ玉がすごい。真似しちゃいけないやつ。だから呼び捨てにされるんだぞ君嶋お前。私も「きーーーみーーーじーーーまーーー!!!!」って言おうかな。篠宮刑事は言ってないです。
◆強い誇りと信念を胸に
土門 「『取られたものを、持ち主に取り戻すことが刑事の誇り』……」
マリコ「でも、亡くなった人の無念を晴らすのは土門さんたちにしか出来ないし、その声を、遺された人に届けることは、私たちにしか出来ない仕事」
「今回、わかったわ。篠宮さんには刑事としてだけじゃなく、人として、揺るぎない強い信念があるってこと」
土門 「お前が言うか……」
マリコ「えっ?」
土門 「揺るぎないどころか、絶対に譲らないという意味では、篠宮もお前も、いい勝負だと俺は思うがな」
マリコ「そう? ……私はそんな刑事さんを、もうひとり、知ってるわね」
土門 「……え?」
たとえ本人の前でデレても、本人に伝わらないと意味がない。よく土門さんは(そして視聴者も)マリコさんを「にぶい」みたいな扱いしますけど、土門さん側も相当じゃないっすかねコレ。キムチでもいい? じゃねーんだよ!
雑感
篠宮刑事三度回。情報流出回。ビッケブランカさんが密かに出ていた回。篠宮刑事の魅力を掘りまくってた回。
松下由樹の安心感たるや。篠宮刑事、ツンデレで人並み以上に警戒心が強くておっかないところは確かにあるんだけど、「マリコさんと比べてどちらと友達になれそう?」と言われたら、ダントツで篠宮刑事だな……めちゃくちゃいい人だもん。自分の信念に反することは絶対にしないし、自分の仕事に矜持を持っていて誠実。
マリコさんの評価を受けて、土門さんがマリコさんと並べて「いい勝負」と笑いながら評してる辺り、土門さん的にも篠宮刑事は好ましいんだろうな。これぐらいの苛烈さなら、土門さんとも上手くやっていけるのか。苛烈な女刑事というとやはり落合刑事がちらつくんだけど、落合刑事もこれぐらいのマイルドさだったら生き残ってたんだろうな。でもマイルドじゃないから落合刑事も好きなんだ……
閑話休題。
マリコさんにとって「科学は人の心を救える」というのは永遠の目標であり絶対の信念であり、確固たる矜持であると私は思っているのですが、それに対してのプラスの答えが今回という認識。こういう風にピリッと決まったお話が来て、「戸田山脚本、さすがだよなぁ~!」みたいな、謎の後方理解者面してます。今。
S24では戸田山脚本がこれ1本だった、すなわちこれが戸田山さんの『科捜研』最終作だったの、悲しい。2時間SP書いてほしかったぜ。
時期的に『法廷のドラゴン』に携わってたのかな。そっちもめっちゃ面白かったので、再放送や配信で見かけた方はぜひ。